白クマ
日医白クマ通信 No.1486
2011年11月30日(水)


神奈川県医師会 県民集会「日本の医療を守るための総決起大会」
〜受診時定額負担・医療への株式会社参入断固反対〜

神奈川県医師会 県民集会


 去る11月29日(火)午後6時30分より、横浜市の県総合医療会館7階大講堂において、神奈川県民医療推進会議主催による標記県民集会を開催した。各団体の会員や県民ら約220名が参加し、反対の意思を確認した。

 主催者挨拶で、大久保 吉修会長(県民医療推進会議会長・神奈川県医師会長)は、「医療費は公費、保険料負担、窓口負担で賄われており、世界に冠たる日本の国民皆保険制度は、広く国民全体で負担しあう制度として50年の歴史があるが、受診時定額負担は患者間で負担し合う制度で言い換えれば、患者負担による患者のための財源で、国民皆保険の理念に反している。受診時定額負担は、国民皆保険制度に発生した悪質な癌であり、力を集結して早く排除しなければならない」と述べ、受診時定額負担には断固反対すると表明した。

 続いて、基調講演では日医社会保険診療報酬検討委員会委員で、県医師会の菊岡 正和副会長が『日本の医療を守るために』と題し講演。

 日本の総医療費は、高齢化が世界で最も進んでいるにも関わらず低水準〔総医療費・対GDP比 日本8.1%(07年)、英国8.7%(08年)、ドイツ10.5%(08年)〕であり、一人当たりの総医療費水準も低いが、OECD Health Data 2009に基づく国際評価は、堂々の第1位を獲得している。しかし、患者負担率は主要先進国よりも高く、国民が医療費負担を重く感じる一因となっているとともに、社会保障給付費増加の主因は、医療費ではなく年金であることを説明。

 また、政府は、高額療養費を見直して負担軽減を図るための財源として、現在の窓口負担に加えて、「受診時定額負担」の導入を提案しているが、高額な医療にかかった患者負担を軽減することには賛成であるが、医療というリスクに備える財源は、公的保険のため、患者ではなく幅広く保険料に求めるべきであると述べた。

 さらに、「受診時定額負担」は、当初は定額100円であっても、導入後はその水準が引き上げられることは、過去の患者一部負担金の引き上げからも明らかであり、その結果、高齢者や低所得者等の受診抑制にも繋がると、大きな問題点を指摘した。

 その後、各団体及び県民を交えて意見交換が行われ、最後に、大久保会長が大会開催の趣旨を説明した後、決議を採択した。

 決議では、震災の発生を受け、持続可能な社会保障体制を守ることが必要とし、「受診時定額負担」の導入や医療への株式会社の参入に断固反対し、今後も「誰でも、いつでも、どこでも」安心して平等に医療が受けられる、国民皆保険制度を堅持していくと強く宣言した。

〔文責:神奈川県医師会理事(広報担当) 梶原 光令〕

◆問い合わせ先:神奈川県医師会 TEL:045-241-7000


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