白クマ
日医白クマ通信 No.1747
2014年2月14日(金)


三師会合同記者会見
「平成26年度診療報酬改定に関する中医協答申取りまとめを受けて」

三師会合同記者会見


 横倉義武会長は2月12日、同日開催された中医協で平成26年度診療報酬改定に関する答申が取りまとめられ、田村憲久厚生労働大臣に提出されたことを受けて、大久保満男日本歯科医師会長、土屋文人日本薬剤師会副会長らと日医会館で合同記者会見を行い、見解を示した。当日は他に、それぞれ中医協委員である、中川俊男副会長、鈴木邦彦常任理事、堀憲郎日歯常務理事、三浦洋嗣日薬副会長が出席した。

 横倉会長は、初めに、「中医協委員の真摯なご議論に御礼申し上げる」と述べた上で、平成26年度診療報酬改定について、診療報酬全体で0.1%増という厳しい国家財政の中、国民との約束である社会保障・税一体改革に基づき、その第一歩を踏み出したものであるとした。

 更に、不適切事例については適正化を図った一方、7対1看護基準の見直しに伴う急性期後の受け皿づくりの整備のため、主治医機能、有床診療所、在宅医療への手当等、地域に密着して医療を提供したことに対して適切な評価がなされ、少ない財源の中でメリハリの利いた診療報酬改定となったと説明。

 一方、消費税8%への引き上げ対応分については、医療機関等に負担が生じないように医療費総額の1.36%の補填(ほてん)が行われ、従前の個別診療項目へ配分する方法が不公平であったこと及び10%引き上げ時までの1年半の対応であることを踏まえて、より公平かつ出来る限りシンプルな対応案として、初診料12点、再診料3点と基本診療料へ配分されたことは妥当との考えを示した。ただし、患者・国民・保険者の消費税負担が目に見えない形で生じている現行制度については見直しが必要であり、患者負担を増やすことなく、税制による抜本的な解決を要望しているとした。

 同会長は、診療報酬改定率が決まった昨年末の会見でも触れたとおり、団塊の世代が75歳に達する2025年までの11年という短い期間に、持続可能な社会保障制度となるよう、必要な改革、特に地域包括ケアを推進していかなければならず、改革に今、必要なのは「ビジョンと実行」であると強調。医療機関の自主選択を尊重した「医療の機能分化・機能連携の推進」を図るとともに、住み慣れた地域で最期まで安心して暮らせるよう「超高齢社会における地域包括ケア」の構築が重要であり、地域医療支援センターの機能強化による医師確保と偏在の解決も必要と指摘した。

 また、同会長は、地域で必要な医療・介護は、都道府県が作成したビジョンに基づき実施されることから、都道府県と都道府県医師会との密接な連携が重要になるとして、この連携が円滑に進むよう、実務的な支援・指導を行う「地域包括ケア推進室」を日医内に設置し、体制を整える予定であることを明らかにした。

 最後に、「医療を支える専門家集団である、日医、日歯、日薬の三団体は、相互に連携し、政府に分断されることなく、医療再興の大義の下、大同団結していく覚悟であり、地域医療の再興に向け、国民誰もが必要な医療を過不足なく受けられるよう、あるべき医療の姿の実現のため、邁進(まいしん)していく」と述べ、理解と協力を求めた。

 引き続き、大久保日歯会長は、「三師会が一致団結し、医療再興という大義の下で協力し、国民の健康を守っていきたいという全く同じ思いで改定に臨んできた」とし、超高齢社会の中で最期まで自分の口で食べることを支えていくことが歯科医療の目的であり、国民の人口構成の変化等に応じてどのような歯科医療を提供出来るのかについて苦慮しながら、限りある財源の中で努力していきたいと述べた。

 土屋日薬副会長は、調剤報酬改定について、薬局・薬剤師のかかりつけ機能を重視し評価する方向性が強く打ち出された内容と理解しているとした上で、今後も、安心で安全かつ適正な薬物療法の推進と医療提供体制を支えるチーム医療の一員としての立場から医療従事者との連携を図りつつ一層努力していく所存であるとした。

 鈴木常任理事は、限られた財源の中、2025年に向けた地域包括ケアの確立という改革の大きな目標を踏まえた改定であり、メリハリのある改定になったとの考えを示した上で、地域包括ケアの確立に必要な、地域に密着した医療の充実のために、その中心となる中小病院、有床診療所、診療所について今回一定の評価がされたことは良かったとした。また、7対1病床の大幅な削減に関しては、「急激な変化により現場や国民に混乱のないよう注視し、万一問題が起きるようであれば、検証して次回改定で修正していきたい」と述べた。

 その後の記者との質疑応答の中で、中川副会長は、最後の2,200億円削減の2008年度予算編成でも、薬価引き下げ財源が全体の改定財源から切り離されていなかったことを例にあげ、本体改定財源から切り離されたことは、極めて異例であることを確認したいとした他、「地域包括診療料」の創設については、日医としては外来の包括化を容認したわけではなく、“かかりつけ医の評価”をここから始めようということで道筋がついたものとの考えを示し、「算定要件等、しっかり説明していきたい」とした。

◆問い合わせ先:日本医師会医療保険課、総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)


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