白クマ
日医白クマ通信 No.1831
2014年12月19日(金)


定例記者会見
「かかりつけ医機能と在宅医療を中心とした診療所調査結果を公表」
―松本常任理事

定例記者会見


 松本純一常任理事は、日医が実施した「2014年度診療報酬改定に係る診療所調査結果―かかりつけ医機能と在宅医療を中心に―」の結果がまとまったとして、12月17日の定例記者会見で公表した。

 本調査は、日医会員のうち、診療所開設者及び管理者を対象とし、無作為に1/20抽出。3,413人に本年10月に調査票を送付し、1,519人の有効回答(有効回答率44.5%)を得た。

 同常任理事は、「超高齢社会を迎えた我が国の今後を考えた時、かかりつけ医を中心とした地域包括ケアシステムの早期構築が重要となることから、次回診療報酬改定などに向けた議論の基礎資料とするべくアンケート調査を実施した」と説明するとともに、(1)かかりつけ医及びかかりつけ医機能、(2)処方の状況(〔1〕院内・院外処方、〔2〕長期処方、〔3〕後発薬品)、(3)在宅医療―などの項目について、集計結果を報告した。

 (1)では、地域包括診療料・地域包括診療加算の要件のうちかかりつけ医・かかりつけ医機能にとって重要と思われる項目及び、負担・困難と思われる項目を調査。特に重要と考える項目として、「受診勧奨や健康状態の管理」「主治医意見書の作成」「健康相談」などが多く挙げられた一方、実施することが負担・困難な項目は、「常勤医師3人以上在籍」「在宅患者への24時間の対応」が多く、現場の負担になっていることが示された。

 (2)〔1〕では、院内処方を実施している診療所の割合を示すとともに、院内・院外それぞれの処方のメリットを調査。「院内処方のメリット」として、「患者の移動の負担がない」「患者の経済的負担が少ない」が多く挙げられる一方、「院外処方のメリット」として、「医療機関で在庫管理の手間・コストがかからない」などが挙げられた。

 (2)〔2〕では、病状安定者への処方日数を調査するとともに、長期処方を行う背景や長期処方に伴う事例について調査。「比較的長期の処方をしている背景」として、「病状が安定」「患者からの要望」が多くを占めていた。また、「比較的長期の処方が原因であると考えられる事例への遭遇」では、「患者が薬をなくしてしまい、予約より前に再診」「患者の服薬忘れ・中断により病状が改善しなかった」などが多く見られた。

 (3)では、訪問診療等の実施状況を調査するとともに、4つのグループごとに在宅医療を行う上で大変と感じていることを調査。全体としては、在宅医療に関して「緊急時の対応」「自身の体力」「在宅での看取り」などが大変であるとの意見が多くを占めていたが、「今後、在宅医療を拡充・継続する予定のグループ」では、在宅医療へのコスト負担が重荷になっていることが推察された。また、「在宅医療から縮小・撤退しようとしているグループ」では、自身の体力や他院との連携が、「これから在宅医療に新規参入しようとしているグループ」では、認知症やがんについての知識や医療技術の習得が、それぞれ大変と感じていた他、「在宅医療の予定がないグループ」では、知識や医療技術の習得が負担となっているなどの状況が明らかとなった。

 最後に松本常任理事は、「今回のアンケート結果や、検証部会の調査結果など医療現場の実情実態を踏まえて、次回診療報酬におけるかかりつけ医及び在宅医療の議論に臨みたい」とした上で、調査に協力頂いた日医会員に謝辞を述べた。

◆問い合わせ先:日本医師会 医療保険課 TEL:03-3946-2121(代)
◇プレスリリース資料はこちら⇒PDF(229KB)


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