白クマ
日医白クマ通信 No.228
2005年9月20日(火)


第5回会員の倫理・資質向上委員会
「フランス医師会に関する調査報告」と「イギリス医師会に関する調査報告」に関して意見交換を行う

第5回会員の倫理・資質向上委員会


 第5回会員の倫理・資質向上委員会が、9月15日、日医会館で開催された。

 森岡恭彦委員長のあいさつのあと、(1)フランス医師会に関する調査報告(ぬで島次郎委員)、(2)イギリス医師会に関する調査報告(新島仁委員)が行われた。

 ぬで島委員は、「フランスにおける医師の規律のあり方」について、フランスでは医業を行う条件として、(1)医学博士号の国家免状の所有(医師免許)、(2)医師会名簿への登録(医業登録)の2つが必要であり、フランス医師会(権限と組織が法的に定められた強制加入の職業団体)は、県、地域圏、全国に分かれており、医師は、医業を行う県の医師会評議会が作成する名簿に登録すると説明した。

 懲戒制度なども医師会が中心的な役割をはたしてきたが、2002年病者の権利法による改革後は、「一般人の参与と、司法官を通じた審理の客観化の拡充が行われている」と説明した。2004年の地域圏評議会への懲戒請求の申し立ては1,428件で、うち除籍は24件、医業停止(最大3年まで)は189件。他に戒告、譴責がある。

 新島委員は、イギリスの医療制度について、GMC(日本では医師免許に相当)、NHS(日本の保険医に類似)、BMA(日本の医師会員に相当)に分かれており、このうちGMCで、倫理指針逸脱に対する懲戒処分が行われていると説明した。

 GMCは、General Medical Councilの略で、医師管理のための独立機関。国の機関ではない。医師免許管理機関に相当し、登録や抹消の権限をもっている。

 新島委員は「ブリストル事件(1997年)、シップマン事件(1998年)を契機に、GMCは身内に甘いのではないかという批判があり、自己改革の最中である。自己改革は進んでいるが、社会的な風潮として、自律的な機関の存在のみでは、次第に社会に許容されなくなってきている感がある」とイギリスの医療をめぐる社会状況について解説した。

 この後、各委員は活発な意見交換を行った。今後は、答申のまとめ作業に入る予定である。


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