白クマ
日医白クマ通信 No.268
2005年11月14日(月)


中医協総会で「医療経済実態調査」の誤った報道に対して見解を示す

  先に配信した、日医白クマ通信 No.260 のコメントに関連して、松原謙二常任理事は、今月9日に開催された中医協総会において、「日本医師会の見解(その1)」(下掲)を配付。特に傍聴しているマスコミに向って、「国民を錯覚させるような報道については、訂正をお願いしたい」と要請した。

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 医療経済実態調査結果速報(平成17年度)に対する日本医師会の見解(その1)

 本調査は、各種医療機関における改定ごとの変化を調査するものであり、収支構造の異なる法人立と個人立を比較することはできない。診療は、診断、説明、治療によって行われるものであり、物を製造して販売するものではない。したがって、他業種のように収益率を比較することは適切ではない。

 各方面から問題とされている個人立診療所の収支については、大きな誤解がある。個人立は、法人立のごとく経営者の給与を経費として算定できないので、その医業収支差額は法人における黒字赤字を示す額ではない。個人立の場合には医業収支差額から従業員・事業主の退職金引当、建物・設備の更新費用を積み立てる(平均月々30万円:日医資料)と同時に、事業用借入金の返済(平均月々40万円:中医協資料)を行わなければならない。結果として医業収支227万円から、これらと引き当て相当分の税金を引き、賞与分を勘案すると月給約100万円となり、病院長平均月給195万円、医師平均月給96万円と比較しても多いものではない。

 本年度の調査は前回調査に比べて診療実日数が1日多く、これまでの厚生労働省の方法によると収入をマイナス2.3%補正しなければならない。すなわち、個人立診療所では収入は報告のマイナス2.0%ではなくマイナス4.3%となり、実質かなりのマイナス改定であったことが明瞭となっている。さらに、多くの病院においては医業収支が赤字であり、医療の安全確保が困難となってきている。この傾向が続けば、医療提供体制は破壊されていくものと推察される。

◆問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL:03-3946-2121(代)


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