白クマ
日医白クマ通信 No.439
2006年6月30日(金)


第1回感染症危機管理対策委員会
「新型インフルエンザ対策など多岐にわたって意見を交換」

左:唐澤会長、右:飯沼常任理事


 平成18年度第1回感染症危機管理対策委員会が、6月28日、日医会館で開催された。

 飯沼雅朗常任理事の司会で開会し、唐澤祥人会長は、「感染症に対して、迅速かつ適切な対策を行うため、平成9年から感染症危機管理対策室を設置し、医師向けの感染症診断・治療ガイドラインの作成、国民に対しては市民公開講座などの開催を通して、啓発等は着実に進んでいる。感染症法の改正は今国会では成立せず、秋の国会で審議が予定されている。新型インフルエンザ対策や予防接種の問題など課題は多く、さまざまな角度からご指導をお願いしたい」とあいさつした。岩砂和雄副会長は、「感染症は、いつどこで集団発生するかわからず、きちんと準備できているかどうかが大きなポイントになる」と各委員に協力を求めるあいさつをした。

 委員長には、倉田毅富山県衛生研究所長、副委員長に雪下國雄前日医常任理事が選出された。

 議題は、(1)新型インフルエンザ対策、(2)麻しん、風しん予防接種、(3)今冬のインフルエンザワクチンの需要、(4)日本医師会市民公開講座、(5)その他−であった。

 (1)では、平成18年5月に改訂された新型インフルエンザ行動計画(鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議)について説明があり、国の対応として、対策本部の設置、ガイドラインの策定が行われていること、インドネシアで、限定的ではあるが、鳥インフルエンザのヒトからヒトへの感染例が報告されていることなどについて意見交換があった。

 (2)では、麻しん・風しんの単抗原ワクチンの追加、第二期の接種を開始する予防接種法施行令の一部改正についての説明があった。

 (3)では、飯沼常任理事が、「インフルエンザワクチンの安定供給対策について、今冬のワクチンの製造量は2300万本程度を予定しており、昨年、500本以上の返品を行った医療機関等を都道府県に通知するなどの措置をとることで需給バランスを図っていきたい」と述べ、厚労省と通知を協議中であることを報告した。


感染症危機管理対策委員会

 (4)では、10月22日に開催する日本医師会市民公開講座「知って防ごう性感染症 現状と対策」について、「唐澤会長のあいさつの後、4名のシンポジストによるシンポジウム、フロアーとの質疑応答を予定しており、この市民公開講座は、後日、NHK教育テレビ「土曜フォーラム」で放映される」との報告があり、内容について意見交換があった。

 (5)では、厚労省「ワクチン産業ビジョン(案)」が示されたことについて、「先進国のなかでは、日本のワクチンの精製はとてもよいが、種類が少なく、対策には資金面での援助が必要だろう」などの意見が出された。

 また、「肺炎球菌ワクチンの再接種の要望(日本感染症学会ほか4学会連名)」、「感染症法改正の概要」などについて説明があった。

 最後に、最高裁におけるB型肝炎訴訟で、国の敗訴に終わった判決に関連して、今後の対策として、「B型肝炎の予防接種を定期接種とすることも必要であろう」などの意見の交換があった。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第3課 TEL:03-3946-2121(代)

※唐澤祥人会長の「祥」の字は機種依存文字のため、近い字を使用しております。ご了承ください。


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