白クマ
日医白クマ通信 No.455
2006年7月26日(水)


愛知県医師会
代議員会で「医療難民を生み出さない医療制度の確立」を求める決議

 愛知県医師会では、6月3日(土)、第151回(定例)代議員会を下記のとおり決議したので、報告いたします。

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決 議

愛知県医師会 代議員会


 小泉内閣による5年間の構造改革は、この社会の中の格差を様々な形で拡大させた。医療・介護の現場では、医療難民、介護難民として落ちこぼれる国民が増加している。受け皿への確たる準備も無く療養病床の三八万床から十五万床への削減計画は進み、保険料や一部自己負担の増大に耐えられず受診抑制や退院・退所に追い込まれる例も多い。

 国会にて審議中の「医療制度改革関連法案」は政府の過大な医療費将来推計を基に継続的な医療費削減を目指している。今回の診療報酬改定も医療制度改革の先行施策として、史上最高のマイナス改定を実施した。その下で医療機関の経営は大きく脅かされ、国民に必要な医療の提供がどこまでできるのか、関係者は一様に大きな不安を抱いている。

 実質稼動可能な医師・看護師等の絶対的な不足と診療やその他の付随する業務量の多さに現場の疲弊が頂点に達する中で、福島県の産婦人科医師逮捕事件がおきた。過酷な環境の下でなされてきた地域医療への献身・貢献を何ら顧みない司法の強引な介入が、医療崩壊への動きに一層の拍車をかけている。

 安心して医療が行われるには、異状死に対する見解の統一化や医療の専門家による調査機関の設立等医療事故取扱ルールの確立、更には不足する医師・看護師の適正な育成・配置等の総合的な施策の速やかな実行を必要とする。これらを踏まえ、国民皆保険制度の下、全ての国民に必要な医療が提供されることを願い、我々は以下の事項を決議する。

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  • 一、医療難民や介護難民を生み出さない医療制度の確立
  • 一、国民に必要な医療を行えるような診療報酬の設定
  • 一、専門家による医療事故調査機関の設立
  • 一、医師・看護師等の不足を解消する諸施策の実行

平成十八年六月三日

愛知県医師会第一五一回(定例)代議員会

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◆問い合わせ先:愛知県医師会 TEL:052-241-4136(代)


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