白クマ
日医白クマ通信 No.465
2006年8月10日(木)


定例記者会見
「分娩に関連する脳性麻痺に対する障害補償制度」の制度化を提言
 ―制度原案を川崎厚労大臣に手交―

木下勝之常任理事


 木下勝之常任理事は、8月8日、日医会館で記者会見を行い、分娩に関連して生ずる脳性麻痺に対して、医師の過失の有無にかかわらず補償金を給付する、「分娩に関連する脳性麻痺に対する障害補償制度(以下、「障害補償制度」)」を制度化するための原案を取りまとめたことを公表した。制度原案は、6月に設置された「『分娩に関連する脳性麻痺に対する障害補償制度』の制度化に関するプロジェクト委員会(山口光哉委員長)」が取りまとめたもの。

 障害補償制度は、女性が、妊娠と分娩を不安なく迎えることを希望し、分娩に伴い不可避的に一定割合発生する重度障害者とその家族に対して、速やかに、社会的な救済を行うことにより、生きる権利を平等に確保することを基本理念としている。また、安心して子どもを生むための環境の整備や、無過失・無責の産科医師から分娩事故訴訟による時間的・精神的な負担を取り除き、医師と患者の信頼関係に基づく健全な周産期医療環境を確保することを目的として構築されている。

 原案では、生下時体重2,200グラム以上または、在胎週数34週以上で出産した児であって、脳神経学専門の小児科医から、脳性麻痺で身体障害者障害程度等級第1級または第2級に該当すると診断されたものを、原則として補償対象とするとしている。

 制度の運営に係る基金総額に関しては、20年後の2026年まで、基金総額を年間60億円とすれば、制度は機能すると説明。基金の財源については、制度の趣旨等を考えると、国の予算措置を要する重要課題であるとして、「骨太の方針2006」の総合的少子化対策の一環として支出すべきとする一方、出産育児一時金からの一部拠出や、分娩を取り扱う医療機関・産婦人科医師からの拠出なども推定できるとした。

 木下常任理事は、当日出席した報道各社に対して、障害補償制度の法制化に向けての協力を強く要請するとともに、平成19年度予算の概算要求に対する要望として、2日、唐澤祥人会長ら日医役員が、川崎二郎厚生労働大臣に同原案を手交したことを明らかにした。

◆問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL:03-3946-2121(代)


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