白クマ
日医白クマ通信 No.548
2006年12月3日(日)


定例記者会見
「無過失補償制度」の自民党案に対する日医の見解について

木下勝之常任理事


 木下勝之常任理事は、自由民主党の「医療紛争処理のあり方検討会」が、「産科医療における無過失補償制度の枠組み案」を取りまとめたことを受けて、11月29日の記者会見で、「日医の基本的考え方を入れ、国が予算を付けて無過失補償制度を立ち上げようというところまできた。これから、実際の運用面等を詰めていきたい」と述べ、同枠組み案が取りまとめられたことを評価した。

 日医では、分娩に関連して生ずる脳性麻痺に対して、医師の過失の有無にかかわらず補償金を給付する、「分娩に関連する脳性麻痺に対する障害補償制度」を制度化するための原案を本年8月に取りまとめ、同月2日、平成19年度予算の概算要求に対する要望として、川崎二郎前厚生労働大臣に提出。また、同8日には記者会見( http://med.or.jp/teireikaiken/index.html を参照)を開催し、制度化の早期実現に向けた提言を行っている。その後、厚生労働省・自民党とともに無過失補償制度の制度化に向けた検討を重ね、今回の枠組み案がまとめられるに至った。

 枠組み案では、通常の妊娠・分娩にもかかわらず脳性麻痺となった児を補償の対象とし、補償額については数千万円を想定しているが、発生件数等を見込んで適切に設定するとしている。制度の運営主体については、「運営組織」を設置し、その運営組織が、補償対象かの審査や医療事故の分析を実施することとしている。また、この制度には医療機関や助産所単位で加入することとし、運営組織を通じて保険会社に保険料を支払うことを原則とする。保険料の負担に伴い分娩費用が上昇した場合は、出産育児一時金での対応を検討するとした。

 木下常任理事は、制度の基本理念である「患者の救済」「安心して分娩できる体制」を実現するためにも「運営組織は、日医も関与するが、公平で中立的な組織でなければならない」という視点は貫いていきたいと述べ、制度の創設に対する決意を表すとともに、産科医療だけでなく他の科にも無過失補償制度の流れを広げていく大きな視点で捉えているとの認識を示した。

◆問い合わせ先:日本医師会医賠責対策課 TEL:03-3946-2121(代)


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