白クマ
日医白クマ通信 No.752
2007年10月18日(木)


中医協基本小委(10月17日)
「後発医薬品使用促進のための環境整備」「患者の視点の重視」について議論

中医協基本小委


 中医協診療報酬基本問題小委員会ならびに保険医療材料専門部会が、10月17日、厚生労働省で開催された。

 基本小委では、次期診療報酬改定に向けた検討項目のなかの「後発医薬品使用促進のための環境整備」「患者の視点の重視」について議論が行われた。

 後発医薬品の使用促進に関しては、まず、中医協事務局から、後発医薬品の使用状況や厚生労働省が先ごろ取りまとめた「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」など、使用促進に向けた今後の取り組み、議論の論点などについて、説明が行われた。

 当日示された論点のなかでは、(1)保険医療機関・医師に対する平成19年度調査の結果を踏まえて、処方せん様式について検討すること、(2)後発医薬品の銘柄指定の処方せんを受け付けた薬局の薬剤師が、当該銘柄の選択理由に関する説明責任を果たし、患者が同意した場合には、処方医に疑義紹介することなく別銘柄の後発医薬品を調剤することを認めること、(3)「後発医薬品への変更可」の処方せんを受け付けた薬局が、当該銘柄の選択理由に関する説明責任を果たし、患者が同意した場合には、剤形は異なっても同一の先発医薬品と同等であることが確認されている範囲内で後発医薬品に変更して調剤することを認めること(4)「後発医薬品への変更可」の処方せんに基づき、先発医薬品から後発医薬品に初めて変更して調剤する場合、後発医薬品を試せるように分割調剤することを認めること―などが提案された。

 議論のなかで、鈴木満常任理事は、(1)について、たびたび様式を変更することは、医療現場に混乱をもたらすだけだと批判。変更には賛成できないと述べた。また、(2)、(3)に関しては、「アクションプログラムでは品切れ品目をゼロにすることは平成21年度末までに達成することとなっており、そのようなメーカーの取組みがなされたうえで、診療報酬の検討を行うべきである。また、薬局での在庫確保を処方した医師に連絡しないことは問題であり、医師の処方権を侵害するもので認めることはできない」と主張した。さらに(4)については、患者に安心感を与えることは良いことであるが、それを評価してしまうとチェーン薬局等で不必要に分割調剤するところが出てきてしまうことを危惧。再度の検討を求めた。

 一方、竹嶋康弘副会長は、「患者と医療関係者が安心できてはじめて後発医薬品の使用を促進することができるのではないか」と述べ、患者の視点を重視する必要性を強調した。

 また、日医が9月に実施した「後発医薬品の使用に関する調査結果」については、現在集計中であり、近々のうちにその結果を報告したいとの意向を示した。

◇明細書発行の義務付けには反対を表明

 「患者の視点の重視」に関しては、中医協事務局が、IT化の推進や明細書の発行状況、議論の論点などについて説明した。

 論点のなかでは、(1)明細書発行を選択要件として電子化加算を算定している場合は、実施している旨の掲示を義務付けてはどうか、(2)平成20年4月からオンライン請求が実施される400床以上病院では、明細書を発行する基盤が整っていると考えられることから、実費徴収を認めつつ、明細書の発行を希望する患者に対してはその発行を義務付けてはどうか―との2つの提案が示された。

 これに対して、鈴木常任理事は義務化に対して強い反対姿勢を表明。むしろ現状の仕組みを円滑に進める仕組みを考えるべきだと主張した。竹嶋副会長も、義務化には反対であるとし、明細書の発行については、医療機関の自主性にまかせてほしいと述べた。

◇制度の検討に当たって論点案を明示―保険医療材料専門部会

 保険医療材料専門部会では、保険医療材料専門組織や専門委員からの意見を踏まえて作成された「特定保険医療材料制度の検討に当たっての論点(案)」が示され、それを基に議論が行われた。

 論点(案)では、基本的な考え方として「革新的な新規の医療材料についてはイノベーションの評価を行うなど引き続き適切な評価を行うこととし、既収載品については、不合理な内外価格差を是正する観点から価格の更なる適正化を図る」との考えが示され、内外価格差、イノベーションの評価、機能区分、一定幅について、具体的な見直し案が示されている。

 今後は、業界団体などからのヒアリングを行いながら議論を続け、「特定保険医療材料の保険償還価格算定の基準」の作成を目指すことになっている。

◆問い合わせ先:日本医師会保険医療課 TEL:03-3946-2121


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