白クマ
日医白クマ通信 No.772
2007年11月6日(火)


社会保障審議会医療部会
「平成20年度の診療報酬改定について議論」

 社会保障審議会医療部会が、10月31日、都内で開催され、竹嶋康弘副会長、中川俊男常任理事が出席した。当日は、「平成20年度の診療報酬改定に向けた検討」について、議論が行われた。

 まず、厚生労働省から「平成20年度診療報酬改定の基本方針の検討について」の資料に基づいて、説明が行われた。平成20年度の診療報酬改定では、平成18年度改定時の「基本的な医療政策の方向性」を踏まえつつ、前回の視点を基礎として整理することを基本方針として、病院勤務医の負担軽減を図ることに、特に重点を置くべきとの論点が示された。

 中川常任理事は、勤務医の負担を軽減するための項目が重点事項として盛り込まれていることについて、「“診療所と病院の機能の分担と相互の連携に着目し、勤務医の負担軽減を図るため、初再診料や入院料等の基本料での対応を検討する必要がある”と明記されているが、これはどういう解釈をすればよいのか」と、事務局に説明を求めた。医療課長は、「勤務医の仕事を分担するという意味。医師が自ら行う必要のない作業を医師以外の人に担ってもらうことや、勤務医が負担しているものの一部を診療所の医師に担ってもらう。例えば、夕方の救急外来が増えているが、そのうちの軽症患者については診療所で対応してもらうことを想定している」と回答。「初再診料」については、「基本料のなかで対応できないかと考えている」と述べた。

 これに対して、中川常任理事は、日医からの提出資料「医療経済実態調査の問題点と医業経営の実態について」をもとに、医療機関の経営の実態について説明。日医の分析では、医療機関は病院、診療所ともに減収・減益で、経営状態は赤字に陥っており、病院・診療所ともに早急な手当が必要であることを強調し、「勤務医の疲弊は、全員の一致した意見であるが、勤務医の仕事を診療所が分担すべきというのは、論点のすり替えである」と批判した。また、「診療所に余裕があるというのは間違いである」とし、勤務医を助けるために技術料である初再診料を引き下げれば、診療所の医師の疲弊も進んでしまうことを指摘し、厚労省の考えに危惧を示した。

 なお、竹嶋副会長は会議の冒頭、厚労省が示した基本方針についての資料には、有床診療所についての記載がないことを指摘し、地域医療における有床診療所の重要性を改めて強調した。また、「医療部会は、何について論ずるものなのか」と本部会の意義について、事務局に説明を求めた。他の委員からも、同様の意見が出されたが、明確な回答は示されなかった。

◆問い合わせ先:日本医師会地域医療第一課 TEL:03-3946-2121(代)


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