白クマ
日医白クマ通信 No.817
2007年12月11日(火)


中央社会保険医療協議会(12月5日)
「後発医薬品使用促進のための環境整備の骨子案を議論」

中央社会保険医療協議会


 診療報酬基本問題小委員会ならびに中医協薬価専門部会が、12月5日、都内で開催された。

 5日の基本小委では、11月9日に議論された「後発医薬品使用促進のための環境整備」を踏まえ、その骨子(案)が示された。具体的には、(1)処方せん様式の変更、(2)「変更不可」欄に署名等がない処方せんの後発医薬品銘柄変更、(3)薬局の調剤基本料の見直しと後発医薬品の調剤率評価、(4)後発医薬品を含む処方せん料の見直し、(5)薬局での後発医薬品の分割調剤実施、(6)変更調剤時の医療機関への情報提供、(7)後発医薬品の使用促進を目的とした、療養担当規則等の改正―が記述されている。

 (1)については、先発医薬品から後発医薬品への変更について、処方せんの様式を変更し、現行の「後発医薬品への変更可」の欄を「後発医薬品への変更不可」欄に変更するもの。現行は、後発医薬品への変更を認める場合に署名等をしているが、様式の変更後は、後発医薬品への変更に差し支えがある場合に署名等をすることになる。なお、処方した先発医薬品の一部についてのみ後発医薬品への変更を不可とする場合には、「後発医薬品への変更不可」欄には署名等をせず、当該先発医薬品の銘柄名の近傍に「変更不可」などと記載する。処方せん記載の負担軽減の観点から日医が提案した、変更不可の品目に*印を付す例については、当該*印の意味を処方せんに注記することで認められる。

 (2)は、「後発医薬品への変更不可」欄に署名等がない処方せんに記載された後発医薬品を別銘柄の後発医薬品に変更することについて、処方した後発医薬品の一部についてのみ他の銘柄の後発医薬品への変更を不可とする場合には、当該後発医薬品の銘柄名の近傍に「変更不可」と記載するなど(1)と同様とするもの。変更不可とされなかった後発医薬品に関しては、薬局の薬剤師が患者に説明し、患者が同意した場合に限り、処方医に改めて確認することなく、別銘柄の後発医薬品を調剤可能とする。

 ただし、(6)として、(1)(2)いずれの場合も、薬局は、原則として、変更調剤を行った薬剤の銘柄等について、保険医療機関に情報提供を行うこととされた。

 (4)では、処方せん様式の変更に伴い、後発医薬品を含む場合に処方せん料を2点高くしている評価を見直す。この財源については、11月9日の基本小委で日医が、勤務医の過重労働の解消に使ってほしいと要望しているものである。

 なお、11月9日の基本小委で日医が反対を示した、「薬局が処方医に疑義照会することなく別剤形の後発医薬品に変更すること」に関しては、今回の骨子(案)では削除された。

 (3)(5)は調剤報酬の評価見直し。第16回医療経済実態調査の結果速報を踏まえ、後発医薬品の調剤率が30%以上の場合を重点評価する。また、薬局において、初めて先発医薬品から後発医薬品に変更して調剤する場合に、患者が短期間、後発医薬品を試せるように分割調剤を可能とする。ただし、分割調剤を行った場合は、薬局から保険医療機関にその旨連絡することが必要。

 (7)では、後発医薬品の使用促進を図るため、療養担当規則等において、保険医に対しては、後発医薬品の使用を考慮するよう努めることを、保険薬剤師に対しては、患者に後発医薬品の説明を行うことおよび後発医薬品を調剤するよう努めること等を規定する。

 なお、薬局での変更調剤については、口頭で患者に説明し、同意を得るものとし、患者に署名してもらうことは考えていない、との事務局の説明に対し、支払側委員から疑義があった。これに対して、山本信夫委員(日本薬剤師会副会長)から、薬局では現在でも患者によく説明して変更していること、事務局から、患者の署名を得ることとすると時間がかかり、結果的に後発医薬品の使用が促進されない危惧があること等の説明があり、公益側委員からその判断は合理的と理解を示す発言があった。結果的に、中医協として、問題があった場合には適切に対処することを前提に、薬局での変更調剤に際し患者の署名は要しないことを了解した。

 中医協では、本骨子案をおおむね了解とし、総会で検討されることになった。

 また、当日の基本小委では、これまでの議論を踏まえ、調剤報酬等について具体的内容が示された。(1)調剤基本料および基準調剤加算等の見直し、(2)調剤技術料の時間外加算等、(3)一包化薬の取扱い、(4)自家製剤加算の取扱い、(5)薬剤服用歴管理料および服薬指導加算の見直し、(6)長期投薬情報提供料1の見直し、(7)在宅患者訪問薬剤管理指導、(8)麻薬管理指導加算―について、それぞれ検討内容が挙げられている。(1)は前述の後発医薬品の使用促進の環境整備とも関連する。

 このほか、病院のみで算定可能とされていた、薬剤管理指導料については、有床診療所でも、病院の施設基準(2人以上の常勤の薬剤師の配置等)を満たしている場合には、算定可能とすることが検討された。

 議論のなかでは、自らの薬局のみで24時間調剤可能な体制をより評価することについて、支払側より、特に夜間の調剤への必要性に関する疑問が上がり、事務局より夜間での麻薬使用患者や救急外来への対応について説明があったが、支払側からは改めて議論したいとの要望があった。

 また、山本委員は、「中医協全体として、後発医薬品の使用促進を図るとしているが、調剤基本料の見直しなど、激変のないようお願いしたい」と述べた。

 同日行われた、薬価専門部会では、11月21日に示された「平成20年度薬価制度改革の骨子(たたき台)」に関して、関係業界からの意見聴取が行われた。関係業界からは、8月1日の部会で薬価制度改革について意見聴取をしている。日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会、日本医薬品卸行連合会の4団体が、市場拡大再算定や先発医薬品の特例引下げに反対するなど、それぞれ意見を述べた。

◆問い合わせ先:日本医師会保険医療課 TEL:03-3946-2121(代)


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