白クマ
日医白クマ通信 No.818
2007年12月11日(火)


中医協基本小委(12月7日)
「平成20年度DPC対象病院の基準を条件付で了承―日医」

 中医協診療報酬基本問題小委員会が、12月7日、厚生労働省で開催され、「後期高齢者の診療報酬点数表の在り方等」「短期滞在手術料の見直し」「DPC」「小児医療」「人工腎臓」「外来管理加算」―について議論が行われた。

 「後期高齢者の診療報酬点数表の在り方等」では、(1)後期高齢者の診療報酬点数表は一般の診療報酬点数表を基本とし、現在検討を行っている診療報酬項目を後期高齢者を対象とする項目を溶け込ましていく、(2)在宅時医学総合管理料の普及に伴い、寝たきり老人訪問指導管理料を廃止する、(3)薬剤情報提供料の老人加算に関しては、老人手帳に記載した場合に算定できたものであるが、後期高齢者制度のもとではお薬手帳に記載することとしていることから廃止する―が提案された。

 鈴木満委員(日医常任理事)は、(1)には賛成したものの、(2)についてはこれを廃止することによって算定できないものが出てくることがないような医療と介護の配慮を求めた。また、(3)についても、「お薬手帳」が4割しか普及していない状況を改めて指摘し、義務化は混乱を招くとしてお薬手帳の使用について反対との姿勢を示した。

 「短期滞在手術料」については、15歳未満の鼠径ヘルニアの在院日数の分布のほとんどが2泊3日であることから、術前の検査も含めて1手術当たりの療養に要する費用を定額(短期滞在手術基本料3の新設)で設定してはどうか提案がなされ、了承された。

 「DPC」に関しては、前回の11月21日の議論で結論の出なかった(1)平成19年度DPC準備病院を2年間分のデータ提出後の平成21年度にDPCの対象とすること、(2)平成20年度DPC対象病院の基準―等について議論が行われた。

 議論の結果、(1)については、2年間分のデータを提出することを条件として、平成21年度にDPCの対象とすることで合意した。(2)に関しては、「軽症の急性期入院医療も含めてDPCの対象とする」(基準案1)か、「ある程度以上の重症の急性期入院医療をDPCの対象とする」(基準案2)について検討が行われた。基準案1については、当初、日医は「重症を扱う病院と軽症を扱う病院では差がありすぎることから、そのバラつきをなくすためにも、重症を扱う医療機関を対象とする方が望ましい」として、反対の意向を示していた。しかし、当日は、「基準を満たしていない病院に対するペナルティ」や「いったんDPCの対象病院となってしまうと自主的に脱退することができないといった問題点」など、DPCのあり方の検討を速やかに行うことを条件に、基準案1を了承することとなった。

 また、診療側の委員から、「平成21年度以降も軽症を認める基準を継続すべき」との意見が出されたが、鈴木委員はこの提案を拒否。平成19年度準備病院(698病院)が対象となる平成21年度の拡大については再度議論すべきと主張した。

 「小児医療」については、病院勤務医の負担軽減のため、診療所の地域連携小児夜間・休日診療等、休日や夜間の診療についての評価を上げることが提案された。これに対して、竹嶋康弘委員(日医副会長)は「診療所で夜間診療の加算を新設することは結論が出ていないなかで、この提案には同意できない」と主張。議論の結果、今回の提案は小児科に限定したものとし、診療所全体の問題は改めて議論することで、了承することとなった。

 その他、小児医療では、「超重症児等に係る入院基本料の加算について、6歳ぐらいまでを重点的に評価すること」「重症心身障害児(者)を対象とする施設に限り、障害者施設等入院基本料に、超重症児等の入院比率を条件として7対1入院基本料を新設すること」―を了承した。

 「人工腎臓」については、前回、長時間かけて透析を行った場合に診療報酬上で高く評価することが提案されていたが、透析時間を短縮することの問題点について確認すべきとの指摘があったことから、当日は、「4時間未満の透析の割合が少しずつ増加している」「4時間未満で透析が行われている患者では、4時間以上で透析が行われている患者に比べて死亡率が高率であるとの指摘がある」など、透析時間の現状が報告された。

 議論のなかで、鈴木委員は、「透析は時間がかかるものである。時間の基準を無くした平成14年の改定は間違いであり、今回の措置はそれを正すものだ」と賛成の意を表明。これに対して、支払側からは、時間を評価すれば、故意に長くする施設が出てくるとの懸念が示され、結論は持ち越しとなった。

 「外来管理加算」についても、時間の目安を設けることが再度検討された。鈴木委員は、そもそも示された平均診療時間の分布が厳密でないことを指摘し、時間とは違う評価基準で考えることを求めた。他の診療側委員からも、これに賛同する意見が出されことから、土田武史委員長は「患者さんの視点という意味では何らかの基準を設けることは必要だと考えているが、本日の議論はここまでとし再度議論する」と述べ、当日の議論を打ち切った。

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