白クマ
日医白クマ通信 No.904
2008年4月18日(金)


定例記者会見
「経済財政改革の基本方針2008」に向けて、日医の考え方を示す
―中川常任理事

中川俊男常任理事


 中川俊男常任理事は、4月16日の定例会見で、社会保障、特に公的医療保険の財源確保に当たっては、現状の保険財政の再構築と国の全体的な歳出改革を同時並行で検討するべきで、新たな財源の検討の際は、年金・医療・介護を、それぞれ保障(税)でみるのか保険でみるのか改めて整理する必要があるという、社会保障財源の検討に関する現時点での日医の基本的考え方を説明した。

 「公的医療保険の再構築」としては、具体的に、以下のような試算を示した。

 (1)事業主負担の見直し:ピーク時より4.9ポイント低下している、国民医療費への事業主負担を5%引き上げれば、約1.6兆円の増収になる。

 (2)保険料率の公平化:被用者保険の平均標準報酬月額と保険料率(‰)の関係をみると、最も年収の低い政管健保の保険料率が最も高い。被用者保険の保険料率[組合健保(73.17)、共済組合(国家公務員:64.34、地方公務員:73.71、私学教職員:65.20)]を政管健保の保険料率(82.00)に公平化すれば、約0.9兆円の増収になる。

 (3)保険料上限の見直し:a.被用者保険の場合:保険料を賦課する年収の上限を3,000万円に引き上げれば、約0.1兆円の増収になる。 b.国民健康保険の場合:保険料を所得800万円まで所得比例にすれば、約0.4兆円以上の増収になる。

 「国の歳出改革」としては、一般会計から特別会計や独立行政法人に流れる財源は少なくないため、一体的な歳出改革が重要だとした。そのうえで、特別会計の剰余金・積立金に触れ、2006年度の歳入歳出差引(剰余金)が51.0兆円で、このうち41.5兆円が翌年度に繰り越され、年金以外の積立金残高64.9兆円と合わせて、2006年度末に緊急の使途を持たない財源として106.5兆円もある。同常任理事は、「国民に負担を求める前に、これらについて透明感を高め、説明する義務がある」と述べた。

 さらに、今後は、医療と介護は、年金と同様に社会保障でありながら、基礎年金に比べて国庫負担割合が低いとして、議論の必要性を強調。また、医療費国庫負担の全体像を示しながら、現在投入されている公費を後期高齢者医療制度に集中すれば、9割の給付が実現できるとした。日医としては、後期高齢者の保険料徴収を再検討し、「保障」として運営することは可能との考えを示した。

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03−3946−2121(代)

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