白クマ
日医白クマ通信 No.976
2008年8月7日(木)


定例記者会見
「緊急レセプト調査(4〜6月分)結果報告、総点数は前年同期比▲0.31%に」
―中川常任理事

中川常任理事


 中川俊男常任理事は、8月6日の定例記者会見で、日医が実施した緊急レセプト調査(4〜6月分)最終結果を報告した。

 この調査は、診療報酬改定の結果、理論上のあるべき収入が確保されているかどうかを検証するために、日医のA1会員の医療機関(病院6,931、診療所76,702)から、それぞれ1/20を都道府県別に無作為抽出し、行われたものである。有効回答率は診療所35.4%、病院45.5%であり、全国の診療所の1.4%、病院の1.9%をカバーしている。

 調査結果を受け、同常任理事は、「厚生労働省は、制度改正や診療報酬改定のない年の医療費の伸びは3〜4%であると主張している。したがって、2008年度の診療報酬全体の改定率は▲0.82%であったが、総点数は2%以上伸びるはずである。ところが本調査結果によると、全体で▲0.31%に止まっており、本来あるべき医療費の自然増は見られない。厚生労働省は医療費の伸びについての見解を下方修正すべきで、その伸びにもとづいて行われている医療制度改革等の方向転換を図るべきである」との考えを示した。

 2008年度の診療報酬改定では、診療所から病院に医療費ベースで400億円強(+0.2%相当)の追加的な財政支援が行われた。その結果、1件当たり点数は病院で+1.09%となった。一方、診療所では▲1.54%。総点数も病院+0.68%に対し、診療所は▲1.85%であった。「この結果からも、病院と診療所との乖離が大きく、診療所にとってきわめて厳しい改定の実態になっているといわざるを得ない」と批判した。

 後期高齢者については、3要素(総点数、総件数、総日数)が前年同期比マイナスとなっている。後期高齢者が増加している中、入院外の総件数ですら診療所▲0.74%、病院▲1.33%であった。「2008年4月から後期高齢者医療制度が始り、保険料の負担増や年金天引きが、患者一部負担も増えるかのようなニュアンスで伝わったこともあり、後期高齢者の受診抑制が働いたおそれがある。今後の受療率等の動向を注視するとともに、後期高齢者医療制度のあり方 についても、再提案を行っていきたい」と述べた。

 診療所から病院への追加的財政支援400億円強のうち、外来管理加算の見直しによるものは100数十億円 と予定されていた。本調査結果によると、外来管理加算の算定回数は診療所で前年同期比▲26.38%、病院で▲27.99%であった。ここから2007年度の点数をもとに試算すると、算定回数の減少だけで、診療所は▲744億円を減らしたことになる。さらに、診療所では後期高齢者の外来管理加算が5点引き下げられた。この影響も加味すると、外来管理加算にかかわる診療所の財政支援だけでも800億円を超えると試算。

 これを受けて同常任理事は、「診療所から病院への財政的支援が予定以上になっている可能性がある。中医協でも外来管理加算に関する調査が行われつつあるが、早急に検証し、何らかの手当てを行うべきである」との見解を述べた。

※日医総研ワーキングペーパー(NO.170) 2008年度(4〜6月分)緊急レセプト調査>>>

◆問い合わせ先:日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)

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