子育てをしながら働くイメージが
持てないのですが…。(1)

 

子育てをしながら働くイメージが持てないのですが…。

 

そうだよね。私は今こんな感じで、フルタイムで働いているよ。

 

● この他に、月3~4日ほど当直がある。
・当直日を月曜にして、日曜から子どもを実家に預けることも多い。
・それができないときは、保育園のお迎えから夫の帰りまでをカバーしてくれるベビーシッターに依頼することもある。
● 子どもの体調が悪いときは、前日から病児保育対応のベビーシッターに依頼する。
● 月に1度は週末に家事代行サービスが来てくれて、家中の掃除をしてもらっている。

 

 

A先生
4年目・子ども1歳・時短

 

B先生
7年目・専門医・妊娠中のため当直免除

 

C先生
7年目・妻も医師で育休中

 

D先生
10年目・専門医・子ども4歳・フルタイム

 

子育てをしながら働くイメージが
持てないのですが…。(2)

 

私は時短勤務だけど、こんな感じ。

 

 

 

僕は、育児にフルコミットしてるわけではないけど、こんなふうに過ごしているよ。

 

 

 

フルタイムで共働きだと、親だけで子どもをみるのはやっぱり難しいですか?

 

そうだね~。私はもう割り切って、ベビーシッターもお願いするし、当直のときは実家に預けたりしてるよ。家事代行を頼むこともある。

 

私は子どもを保育園に預けているけど、外部リソースに頼ることには未だにちょっとだけ抵抗がある。私自身が専業主婦の母に育てられたし、できるだけ子どもと一緒にいる時間を作りたくて。だから、時短勤務を選択したよ。

 

Q5 乳幼児の育児に関わる時間・労力のうち子どもの両親はどの程度を担うべきだと思いますか?(残りの部分は、実家や外部リソースなどに依存することになる)

 

 

子育てをしながら働くイメージが
持てないのですが…。(3)

 

時短勤務をすることや当直を免除してもらうことは、実際のところどうなんですか…?

 

まだ仕事が残っているのに引き継いで帰らなくてはいけないときは、やっぱり心苦しいなって感じる。

私も当直を免除してもらっていた時期があるし、それぞれの人の事情に応じた働き方を選択できる方がいいと思う。
だけど当直自体は、一番自分が責任を持って広く診る機会だし、若いうちに経験しておくのは良いことなんだよね。だから、ただ単に「女性は当直免除」とするのは良くないと思う。「子育て中だから」と責任のある仕事をさせないのではなく、キャリアアップしたい、学びたいと思う人には平等に機会を与えてほしいな。

 

私は妊娠中で、放射線に関わる業務を免除してもらっているけれど、けっこう気を遣う。表向きは皆いい顔をしてくれているけど、裏で何か言われていないかと不安になることもあるよ。

男は妊娠も出産もできないから、女性がそういうステージにいるときに、残業や当直を引き受けるのは、僕はあまり抵抗ないな。でも、「なんでお前たちだけ早く帰るんだ」と思ってる人もいるのかも…。

そもそも医師には、残業や当直に対して、きちんと対価が払われていないという問題もあるんだよね。だからこそ余計に同僚に申し訳ないという気持ちになる。

 

そういうことで余計な気遣いをしなくてもいい社会になったらいいのにね。

 

子育てしながら働くうえで、他にハードルになることはありますか?

やっぱり妊娠すると身体がしんどくて、今までのように患者さんの様子をよく見に行ったり、夜遅くまで自分の勉強をしたり、学会発表をまとめたり、というのができなくなった。

子どもが生活の中心になるから、今までなら自分のペースでできていたことが、思うようにできないかな。
保育園にお迎えに行ったら、そこから先は仕事のことを考える余裕なんてなくて、どうしてもやらなければならないことは夜更かしするか早起きしてやるしかないんだよね。でも体力にも限界があるから、なかなか難しい…。

 

妻も、産休・育休中に専門医試験の勉強をしようと言って取り組んでいるけど、実際には上の子もいてなかなか思うように進められていないみたい。割り切ってベビーシッターに預けたり、僕が子どもの面倒を見ている間に家を離れて勉強したりすればいいんだろうけど、実際にはなかなかできないものだね。

 

 

A先生
4年目・子ども1歳・時短

 

B先生
7年目・専門医・妊娠中のため当直免除

 

C先生
7年目・妻も医師で育休中

 

D先生
10年目・専門医・子ども4歳・フルタイム

子育てをしながら働くイメージが持てないのですが…。(4)

必要に応じて多様な働き方を選択する

1、2ページでは、「子育てをしながら働く」ことについて、先輩医師が具体的なタイムスケジュールを提示してくれました。

乳幼児期はどうしても子ども中心の生活になるため、職場の理解と協力を得て勤務時間を調整する必要が出てくるでしょう。育休や時短勤務といった制度の利用だけではなく、子どもの体調不良時に対応するための調整も求められます。Q6・Q7を見ると、育児や家庭の事情によって多様な働き方を選択することについて、若い世代は肯定的に捉えていることがわかります。

外部リソースの活用への抵抗感

また、働き方によっては、育児・家事のすべてを家庭内でまかなうのが難しい場合も多く、実家のサポートや外部リソースを使う必要も出てくるでしょう。しかし2ページのQ5によると、乳幼児の育児においてその両親が担うべきと考える時間・労力の割合は、7~8割のところに回答が集まっています。A先生も、「外部リソースに頼るのには抵抗がある」と発言していますが、同じように感じる医学生が少なくないことが読み取れます。

その背景として、医師は専業主婦家庭やそれに類する家庭に育った人が多く、自身が母親に時間を使ってもらったと感じている人が多いようです。子育て中の女性医師からも、「自分の時間を作るために外部リソースを使うことには抵抗がある」「仕事をしている夫に子どもの面倒を見てもらって、その間に自分が勉強するのは気が引ける」といった声がよく聞かれます。C先生も、妻が専門医試験のための勉強をすることについて、「実際にはなかなかできない」と言っています。

他にも、「子どもが起きている間はできるだけ子どものために時間を使いたい」「子どもが色々なことを吸収する期間に自分に時間を割いて、後から後悔したくない」といった話も聞かれます。本来、男性も子育ての当事者なら「後悔したくない」という思いは同じはずなのですが、そうはなっていない現状があり、理想と実際の時間のやりくりの間で、女性ばかりが板挟みになっているという構図が見えてきます。

子育て中の働き方や、育児・家事にかける時間・労力に関しては、個人や家庭によって価値観も様々ですし、決してこれといった正解はありません。ただし、どんな選択をするにせよ、女性だけが引け目を感じる必要はないはずだということは、男女共に心に留めておくべきでしょう。

 

Q6 育児や家庭の事情を理由に、当直や残業を免除することについてあなたはどう思いますか?

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Q7 希望すれば、医師が勤務日や勤務時間を限定した働き方(週3日勤務、時短勤務等)ができるようになることをどう思いますか?

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Q8 当直や残業に対して十分な対価が払われると仮定してチーム内で負担に偏りが生じることをどう思いますか。

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No.36