そもそも、医師は育休を取れるんですか?(前編)
そもそも、医師は育休を取れるんですか?
医局に所属していれば、ポジションを確保したまま、育休という形で休むこと自体はできるようになってきているよ。けれど、長く休めばそれだけ知識も技術も鈍るのは否めないね…。
私も、0歳の子どもを預けて働きに出るのには抵抗もあったけれど、同期は色々と経験を積んでどんどんできることが増えていっているのに、自分だけが置いていかれているという焦りもあった。
実際に復帰してみると、産休前には当たり前に取れていたルートが取れなくなっていたりしたし、薬の選択やとっさの判断などが自分でも鈍っているように感じる。私の場合は、後期研修が始まって1年足らずで産休入りして、専門分野も中途半端なうちだったからなおさらかもしれない。
私は専門医を取ってから産休・育休を取ったけれど、やっぱり現場を離れたことで感覚が鈍った部分はあると思う。技術が落ちるのも嫌だったから、育休中に先輩の先生にお願いして、ボランティアで週1日だけ、外来や検査の手伝いをさせてもらったよ。やっぱり、週1日だけでもやっているのとやっていないのでは全然違うと思う。
「早く復帰した方がいいよ」と言う人もいれば、「子どもとの時間を取らないと後で後悔するよ」という先輩もいるし、どれが正解か全然わからない。正直、「なんで女性はこんなに悩まなくてはいけないのに、男性はあまり悩まずにいられるの!?」と不満に思うこともあるよ。
うちの妻は、第一子の時は0歳で保育園に入ったんだけど、子どもが熱を出して保育園に行けないことが多くて、復帰したのにまともに働けなくて、「かえってみんなに迷惑をかけたかも…」と言ってた。妻ばかり休ませて申し訳ないという気持ちはあったけど、母親が休むなら「子どもが熱を出したら休むのは仕方ない」と思ってもらえても、父親が休んで子どもを看るとは言い出しにくい雰囲気があったように感じるな。
そんなわけで、第二子に関しては、妻は「早めの復帰はやめておこうかな…」という気持ちになってしまっているし、僕も「早めに復帰して働こう!」とは言いにくい状態だな。
結局、育休を取るのは女性っていう「当たり前」が、まだまだ根強いんだよね。男性の前で言うのも申し訳ないけど、当事者意識には差があると思う。
A先生
4年目・子ども1歳・時短
B先生
7年目・専門医・妊娠中のため当直免除
C先生
7年目・妻も医師で育休中
D先生
10年目・専門医・子ども4歳・フルタイム
そもそも、医師は育休を取れるんですか?(後編)
育児・家事における男女の役割意識
Q9を見ると、「家計を支える」という項目については男女の認識に差がありますが、それ以外は大きな差が見られないことがわかります。つまり、育児・家事における男女の役割について、暗黙のうちにある程度の合意が取れてしまっているということができるでしょう。特に、乳児期および幼児期の子どものケアについて、比較的女性の役割だと感じる人が多いという結果は、女性が育休を取るのが「当たり前」となっている風潮とも合致します。
近年では働き方改革によって、男性にも育休の取得が推進されるようになってきています。それもあってか、Q10からは、若い世代にとって男性の育休の取得は「望ましいこと」であると思われていることがわかります。
ただ、Q10・Q11を見てみると、女性の育休が「子どものために必要」と思われているのに対し、男性の育休は「パートナーのために必要」と思われている側面があることもわかります。
実際、男性が主たる育児の担い手として育休を取得するというケースはまだまだ少なく、「女性が大変なときに取得する」という、あくまで補助的なものであるという認識が強いのが現状といえるでしょう。
Q9 次の各項目は男女どちらの役割だと感じますか?
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Q10 あなたは男性医師が育児休暇を取得することについてどう思いますか?
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Q11 あなたは女性医師が育児休暇を取得することについてどう思いますか?
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