学生・研修医時代、どう考えていましたか?
(前編)

実習で産婦人科に行った時、やはり高齢出産はリスクもあるし、子どもを産むなら早く産みたいと思いました。周りの子たちも焦ると言っています。医師は、ほぼストレートでキャリアを積んでも、専門医を取る頃には30歳。その後も仕事は続くし、「いつ産んだらいいの?」と思ってしまいます。


私もなんとなく「30歳までに第一子を」と思っていた。専門医を取るまでは出産しない方がいいと言う人もいるけど、私自身は後悔してないよ。

私は「専門医を取ってから家庭のことを考えよう!」と学生時代から思っていた。専門医の受験資格を得てから、いわゆる「婚活」を始めて、半年で結婚したよ。友達からは「計画的だな~」と揶揄されたりもするけど、そのくらいの気持ちでいないと、仕事と家庭を両立させるのは難しいと思う。

僕は正直、そういうことはあまり考えていなかったな…。当時は同級生と付き合っていたから、研修病院を選ぶ時に、少しだけ将来のことを考えたりはしたけど。


男の人は当事者意識ないよね~。その子、きっとモヤモヤしていたと思うよ。

 

 

A先生
4年目・子ども1歳・時短

 

B先生
7年目・専門医・妊娠中のため当直免除

 

C先生
7年目・妻も医師で育休中

 

D先生
10年目・専門医・子ども4歳・フルタイム

 

学生・研修医時代、どう考えていましたか?
(後編)

働きやすさは周囲の理解によって変わる

医学生が将来を思い描くうえで身近な課題として、研修病院や診療科の選択が挙げられます。Q13を見ると、専門分野を選ぶにあたって重視する項目として、男女共に「自分自身の興味・関心」に次いで、「ワーク・ライフ・バランスが取れること」が挙げられていることがわかります。

C先生・D先生も言っているように、近年では診療科を問わず、産休・育休や時短勤務、当直免除などの制度の充実が図られてきており、「朝から晩まで休みなく働かなければ生き残れない」という時代ではなくなってきています。ただし、制度自体は整っていても、職場によっては、制度を利用したいと言い出しづらい雰囲気がある場合も少なくないようです。

「働きやすさ」や「ワーク・ライフ・バランスが取れるかどうか」は、職場の文化や周囲の理解によって大きく変わってきます。医療業界にも働き方改革の波が押し寄せ、過渡期となっている今だからこそ、制度だけでなく、職場の文化や上司・同僚の考え方をしっかり知っておく必要があるでしょう。

女性が制度を利用できるだけでは不十分

また、女性は制度を利用しやすいけれど、男性は利用しにくいという声もよく聞かれます。こういう職場が社会全体に多い状況だと、育児・家事の負担が女性に偏ってしまい、結果的に女性がキャリアの中断を余儀なくされることが考えられます。女性が制度を利用しやすい職場が増えたというだけでは、本当に男女が育児・家事をシェアできるようにはならないのです。

 


研修医時代に診療科を選ぶ時、ローテートして興味を持った科にするか、働きやすさ重視で選ぶかで、正直迷った。

「働きやすさ」というのは難しいよね。例えば救急科は、仕事は忙しいし夜勤もあるけれど、大きい施設なら交代制勤務がしっかりしていて、オン・オフがはっきりしてる。逆に、いわゆるマイナー科と言われる診療科でも、大学病院や大規模病院では重い症例もあって、必ずしも早く帰れるとは限らない。


今は「働き方改革」の波も来ているし、この先どうなるかはさらにわからないかも。

10年くらい働いてみて振り返ると、専門分野は自分が興味を持てる分野にした方がいいと感じるな。もちろん、診療科によって忙しさが異なる部分はあるけど、それは勤務先や、同僚のメンバー構成にも左右されるし。今はどの診療科でもそれなりに仕事と家庭の両立ができるようになってきたと思うよ。

どの診療科を選ぶかというより、どこの医局・職場を選ぶかが重要なのかも。同じ診療科でも、上司や同僚の考え方によって働きやすさは全然違うと思うよ。

あと、実際に仕事をし始めたり、結婚して子どもを産んだりすると、それまでの価値観がガラッと変わることもあると思う。
私の周りの同級生を見ても、「子どもができてもバリバリやる!」と言っていた人が、出産したら「もう第一線では続けられない」と言ったり、逆に「早くやめて専業主婦になりたい」と言っていた人が、案外キャリアを続けていたりするよ。学生時代に思い描いたようには、なかなかならないものだよね。
私自身、何が正解かわからないし、「自分の選択は間違っているんじゃないか」っていつも思う。

学生時代と言うことが変わってもいいし、思ったようにいかなくてもいい。その都度、自分がどうしたいのかを考えて、試行錯誤していくしかないのかもね。

Q12 あなたが専門にしたいと思う診療科・分野を二つまで選んでください。

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Q13 あなたが自分の専門分野を選ぶにあたって重視する項目を以下から二つまで選んでください。

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Q14 あなたは専門医の資格を取得したいと思いますか?

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No.36