日本医科学生総合体育大会

オンライン東西医体座談会(前編)

新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、2020~2021年度の東医体・西医体は中止となってしまいました。今回は、2022年度の東医体運営本部長と西医体運営委員長の2人が、最後に東医体・西医体を開催できた2019年度に運営のリーダーを務めた2人に、当時の話を聴きました(2022年2月時点)。

 

3年ぶりの開催に向けて

柳田(以下、柳):今回は、東医体・西医体を実施できた最後の年である2019年に運営のリーダーを務められたお二人と、僕たち現運営の二人でお話をしたいと思います。

僕が初めて理事会に参加したのは2020年で、同年に開催予定だった鳥取大会に向けた話し合いをしている時期でした。このとき既に新型コロナウイルス感染症が感染拡大していたため、会議は対面ではなくオンラインで行われ、大会の中止を決定してそのまま終了しました。そのため僕たちは、大会が開催できた年の主管校がどのように動いていたのかを、実際に見たことがありません。

現在は予算の策定と、毎年4月に行っている理事会の調整をしています。この理事会では大会の開催可否を判断するのですが、現在の状況下で果たして大会が開催できるのかどうか、不安に思っています。

真鍋(以下、真):コロナ禍でなかなか先の見通しが立たず、僕も様々なことを不安に感じています。先輩たちに会って教えを請うことができないため、探り探りやるしかないといった状況です。本来ならばできたはずの他大学との交流もなくなり、残念です。

先輩方には、コロナ禍以前の医体の運営がどのように行われていたのかを聞かせていただきたいです。

宮川(以下、宮):僕が運営本部長をしていた時は、様々な土地の他大学を訪れ、何度も対面で会議を重ねました。学生だけでなく、理事の先生方とも交流を深めることができ、貴重な経験でした。直接対面してコミュニケーションを取ることができない今、運営の二人は本当に大変なのではないかと思います。

高島(以下、高):オンラインでのやり取りが一般的になった今だからこそ、余計に当時の経験のありがたさを実感しますね。後輩の皆さんにも受け継いでいってほしいことがいろいろとあるので、当時を振り返ってお話ししたいと思います。

リーダーとしての役割

:まず、東医体運営本部長としての仕事量が膨大で驚いています。これらの仕事をこなしながら、勉強や部活と両立させたお二人は、何か工夫などされていたのでしょうか?

:僕はできる限り、周囲の人を自分の仕事に巻き込むようにしていました。一人で仕事をすべて抱え込むと、いつかパンクしてしまいます。そうならないためにも、日頃から周囲に自分の大変さをアピールしておくことが大事です。また、周りの誰かが困っていたらぜひ助けてあげてください。そうしたことはいつか返ってきて、後々の自分を救うこともあると思うのです。

:自分が競技に出ているときも、他の人が代わりに担当してくれたら運営が滞らないので、役職それぞれの仕事内容を共有しておくことは重要ですね。

また、運営委員会だけでなく、周りの先生方や各都道府県の各競技の協会の方とも事前にやり取りをしておくことも大切です。コロナ禍の今は対面で会うことが難しく、情報の共有も困難だとは思いますが、心に留めておいてもらえたらと思います。

:確かに、僕は一人で抱え込むタイプで、誰かにお願いするくらいなら自分でやってしまえばいいと、ついつい考えてしまいます。周りの人に仕事を割り振るコツがあったら教えていただけるとありがたいです。

:やはり誠心誠意頼み込むことだと思います。そのなかで、信頼して仕事を任せられる人を何人か見つけることができれば、ずいぶん楽になりますよ。

:運営本部長はいざというときに頼られる存在です。そういうときに力を発揮するためにも、周りを頼って割り振る能力が非常に大切になります。そのためにも、日頃から周囲と信頼関係を築いておくことが重要です。

 

日本医科学生総合体育大会

オンライン東西医体座談会(後編)

アクシデントへの備え

:準備の段階や当日、具体的にはどのようなことに気を付けると良いでしょうか?

:事前に力を入れておいて良かったと感じたのは、安全対策です。関西医科大学では、熱中症や怪我の対策のため、待機する医師の数などについて話し合ったり、各会場近くの病院への連携がスムーズにできるよう取り決めを行ったりしました。大変でしたが、そのおかげで大きな事故もなく、無事に開催することができました。

:僕たちが主管となった大会では、夏のラグビーの試合を例年の北海道ではなく新潟で開催することになっていたのですが、大会数か月前に突然、気温の関係で新潟は不可能と理事会から通達されてしまいました。困っていた時に、お世話になっていた新潟大学のラグビー部の顧問の先生に相談したところ、新潟ラグビー協会に掛け合ってくださったのです。その結果、会場の使用を夜にずらすことで、大会が開催できることになりました。

僕の連携不足で起こってしまった事態なので反省もありますが、周りの人の支え一つがどれだけ大きな力となるかを実感できた体験です。柳田さんと真鍋さんも、先生方とも連絡を密にして、何かあったらぜひ頼るようにしてください。

:なかなか直接会えない状況ですが、コミュニケーションを取るよう心掛けたいですね。

:心残りもあります。大会期間中に台風が直撃して、その1日のすべての競技が中止となってしまった時のことです。競技によっては時間を短縮して試合を終わらせるなど、いろいろ手を打ち、どうにか全競技の試合を行ったのですが、自分の所属するサッカー部ではグラウンドが確保できず、優勝校を2校とすることになりました。トラブル時にはその場で臨機応変に動くことも大事ですが、事前に台風時の対応のフローチャートを準備しておくべきだったという反省があります。

:そうなのですね。運営の人たちと話し合ってフローチャートを作っておきたいと思います。

:それが良いと思います。さらに、先生方、各競技の協会の方、会場の方とも話し合って、予備の会場がどれくらい確保できるかなどをある程度事前に把握しておくと、よりスムーズだと思います。

得難い経験

:改めて振り返って、医体の運営に携わったことをどのように感じていらっしゃいますか?

:僕が運営本部長を引き受けたのは、立候補する学生が誰もいないなか、同期の友人に直接頼まれたからでした。

きっかけはそんな些細なことでしたが、もう1回学生に戻ったとしても、また運営本部長を引き受けたいと思っています。東医体の仕事をしていなかったら、アルバイトや飲み会など、特に代わり映えのしない学生生活を送っていたことでしょう。確かに東医体の仕事は大変でしたが、自分にとってはかけがえのない特別な時間だったと思っています。

:僕ももう一度経験したいですね。主管もしながら、2校優勝だったとはいえサッカー部で優勝もでき、それまでの人生の中で一番大きな良い思い出となっています。

また、それまではあまり関わることがなかった同学年の人たちとも、運営委員会をきっかけに親しくなることができました。その人たちとは今も友人関係が続いています。そういう意味でも運営委員長を引き受けて本当に良かったと思っています

:お二人の言葉を胸に、自分たちもそんなふうに思えるよう、悔いのない運営をしていきたいと思います。

:何かあれば、僕たちはいつでも相談に乗るので、ぜひ連絡してください。

 

宮川 洋平
第62回東医体運営本部長
新潟大学6年







真鍋 壮大郎
第65回東医体運営本部長
札幌医科大学3年







高島 寛之
第71回西医体運営委員長
関西医科大学6年







柳田 心吾
第74回西医体運営委員長
浜松医科大学3年







※取材:2022年2月
※取材対象者の所属は取材時のものです。