授業探訪 医学部の授業を見てみよう!【前編】
横浜市立大学「生化学」
授業中に匿名で気軽にコメントができる!
CommentScreenというアプリを使用しているため、リモート授業を受けながら、匿名で質問をしたり、感想を述べたりすることができます。絵文字のみを送信し、授業へのリアクションを気軽に表現することもできます。
リモートでも周りの学生の反応がわかる!
入力されたコメントは、リモート授業に参加している先生や学生の画面に流れます。先生はコメントを受けて説明のやり方を適宜変えることができ、学生は他の学生の様子や理解度を知ることができます。
生体分子の立体構造から生化学を学べる!
座学の後は、タンパク質の立体構造のリボンダイアグラムをパソコンのグラフィック表示ソフトを用いて観察する実習を行います。クイズも交えながら、がん抑制タンパク質が働くメカニズムなどを学びます。
(写真中央)コメントはパソコンの画面に、右から左へ流れていきます。
(写真右)p53タンパク質が標的DNAに結合したところ。
授業探訪 医学部の授業を見てみよう!【後編】
INTERVIEW 授業について先生にインタビュー
生命現象の基本的な理解を深めるため
コロナ禍で行った工夫
生化学は2年生の必修で、一年間に渡って様々な教員が交代で担当しています。私は理学部の出身で、以前は理化学研究所の研究員をしていました。医師や医学博士ではない理学研究者という立場から、この授業を通じて生命現象の基本的な理解と生命の仕組みの面白さを学生に伝えたいと考えています。生体高分子の立体構造から生命現象を解釈するということは、医学部の授業ではあまり行われていません。しかしこのような視点からも医学を学ぶことで、患者さんへの治療の基礎的な理解を深めたり、いずれは新しい治療法の開発につなげたりしてほしいと考えています。
CommentScreenを授業に導入したのは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響でリモート授業が実施されるようになり、学生の反応が見えにくくなってしまったためでした。座学の授業では、1コマ60分で3~4回コメントが流れてくるので、その質問に答えながら授業を進行しています。生化学の授業は教えることが膨大なので、学生の意見をすべて授業に取り入れることには限界がありますが、気軽に授業に参加してもらうという目的は達成できているように感じます。また実習では、初めてビューアプログラムを使う学生に、エラーが出たときなどは気軽にコメントしてほしいと言っています。これにより、リモートであっても、その都度細かなサポートができているように感じます。
今後は対面授業においても、スライドなどを使う際、そこにコメントを流すことで、学生が質問をするハードルを下げられるのではと考えています。コロナ禍での学生とのコミュニケーション不足を補うためにやむなく導入したツールでしたが、思いがけず新たな発見をすることができました。
仙石 徹先生
横浜市立大学 医学部医学科
学生からの声
授業に参加している実感が持てました
3年 印南 麻央
私が生化学の授業を受けたのは2年生の時で、コロナ禍でオンライン授業が始まったばかりの頃でした。慣れないことも多く、パソコンの前に座り、一人で長時間授業を受け続けることに不安も感じていました。
しかし、この授業では学生がZoomをカメラオフにして互いの表情が見えないときも、何気ないコメントが流れてくるため皆が今何を考えているかがわかり、安心感につながりました。また、リモート授業の講義はどうしても、先生の説明を聞くだけになってしまいやすいのですが、この授業ではコメントを参考に先生が説明の方法を変えてくださるので、授業に参加している意識を持ちやすかったです。
学んだことが強く印象に残りました
3年 渡邉 萌音
私はグループ実習で、モルヒネが受容体に結合する際の立体構造を観察しました。生化学の授業は座学のみだと、どうしても丸暗記せざるを得ない部分がありますが、この授業では自ら手を動かして学ぶことができるため、学んだことがより強く印象に残っているように感じます。また対面授業や他のオンライン講義では、発言すると授業の流れを遮ってしまうのではと躊躇ってしまうこともありました。しかしこの授業では疑問に思ったタイミングでのコメントが可能なため、能動的に授業に参加することができました。匿名のため、Zoomのチャット欄より気軽にコメントできる点も、CommentScreenの利点だと思います。
※取材:2022年2月
※取材対象者の所属は取材時のものです。
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