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研修・ワークショップのお知らせ

研修要綱

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第1章 総則
【目的】 第1条
  •  

    日本医師会員の生涯教育としてACLS教育を位置づけ、医師による効果的な救命処置・治療の実施を推進することで、救急患者の救命率及び社会復帰率の向上に資することを目的とする。

【名称】 第2条
  •  

    「日本医師会ACLS(二次救命処置)研修」(以下、「本研修」)と称し、地域の医師会等が実施する二次救命処置(Advanced Cardiac Life Support。以下、「ACLS」)に関する教育を内容とする研修会であって、日本医師会長が指定するものを修了した医師について、日本医師会ACLS(二次救命処置)研修修了証を交付するものとする。

【定義】 第3条
  •  

    本要綱の用語は、次の例による。

    (1)指定研修会 第8条により、日本医師会長が指定する研修会

    (2)研修会実施主体 指定研修会を実施する者

【基本理念】 第4条
  •  

    本研修は、次の各号を基本理念とする。

    (1)ACLS研修を、日本医師会の生涯教育に位置づけること

    (2)医師による救命処置・治療実施の意義を訴え、それを推進するものであること

    (3)わが国のACLS教育の整合を図るものであること

    (4)主たる対象者を、常時救急医療に従事しない全ての医師とすること

    (5)ACLS研修会を修了した者が、継続的な研鑽に励むことを推進するものであること

【責務】 第5条
  •  

    日本医師会及び都道府県医師会は、本研修の管理・運営を通し、医師による効果的な救命処置・治療の実施を推進し、我が国における救急患者の救命率及び社会復帰率の向上に努めなければならない。また、様々な方策をもってACLSの普及啓発を図ることに努めなければならない。

  • 2. 

    ACLS研修会を実施する者は、本要綱の規定に従い、研修会の適正な実施、運営に努めなければならない。

  • 3. 

    本研修修了証の交付を受けた者は、その後も、修得した技能の維持や新たな知見、技能の修得を図るため、継続的に研修を受けるなどの研鑽に努めなければならない。

【運営】 第6条
  •  

    本研修は、社団法人日本医師会(東京都文京区本駒込2-28-16)が運営する。

  • 2. 

    本研修の運営の実務を行う組織として、社団法人日本医師会に日本医師会ACLS(二次救命処置)研修運営委員会(以下、「運営委員会」)を設置する。その他組織及び職務内容等については、細則に定める。

  • 3. 

    本研修の事務局は、社団法人日本医師会地域医療第1課に置く。

【学習目標】 第7条
  •  

    本研修は、下表に掲げる事項を学習目標とする。

コース目標 系統的なACLSアプローチに基づいた、急変患者への適切な対処やチーム蘇生の方法を習得する
学習目標 突然の心停止に対して最初の10分間の適切な蘇生法を修得する
到達目標
  • 心停止アルゴリズムにおけるBLS(一次救命処置)、ACLSの手順について説明できる
  • 心停止の危険を認識し、心停止を予防できる
  • 蘇生を始める必要性を判断でき、行動に移すことができる
  • 胸骨圧迫と人工呼吸によるCPR(心肺蘇生)に習熟する
  • AED(Automated External Defibrillator。自動体外式除細動器。以下、「AED」)を安全に操作できる
  • 心停止の4つの心電図波形を診断できる
  • 除細動の適応を判断できる
  • 除細動を安全かつ確実に行うことができる
  • 状況と自分の技能に応じた気道管理法を選択し実施できる
  • 気道が確実に確保できているかどうかを判断できる
  • 状況に応じて適切な薬剤を適切な方法で投与できる
  • 治療可能な心停止の原因を知り、原因検索を行動にできる
  • 心拍再開後の治療を述べることができる
第2章 研修会の指定
【研修会の指定】 第8条
  •  

    日本医師会長による本研修の指定は、当該研修会が実施される区域を所管する都道府県医師会長が承認するものに対して、第3項による審査の内容等を勘案して行うものとする。

  • 2. 

    本研修の指定のための申請は、前項の承認をした都道府県医師会長が、細則に定める様式により行うものとする。また、申請にあたっては次の各号に定める書面を添付するものとする。ただし、研修会実施主体が医師会の場合は、第一号に定める書面の添付を要しない。

    (1)研修会実施主体の事業内容を説明する書面

    (2)当該申請に係る研修会の対象者、教育内容及び修了認定方法を説明する書面

    (3)その他日本医師会が当該申請に係る研修会について次項による審査を行うのに必要な書面

  • 3. 

    日本医師会は、次の各号に定める基準に照らして当該研修会の内容を審査する。なお、試験の実施の要否は、各研修会実施主体の判断に委ねるものとする。

    (1)学習目標が、前条の表に掲げられている事項と合致すること。

    (2)教育内容が、救急医療設備の限られた医療機関や医療機関外での心停止例を考慮したものであること。

    (3)主な対象者が、常時、救急医療に従事しない医師であること。ただし、指定基準を満たしていれば救急医療に従事する医師、看護職員や救急救命士等の参加を妨げるものではない。

    (4)教育内容が、別表に定める標準カリキュラムと同等又はそれ以上であると認められること。

    (5)講師やインストラクター等が、救急蘇生法に精通している者であること

    (6)受講者が6人を超える場合は、受講者を1グループ最高6人に分けて実習を行うよう努めるものであること。

    (7)実習の内容に、気道確保及び除細動の習熟を含むものであること。

    (8)下表の医薬品や医療用具を用いた実習を行うものであること。

    a. 気道確保、換気・人工呼吸

    (ア)ワンウェイフィルター付きのポケットマスク・フェイスシールド

    (イ)ラリンゲアルマスク・食道閉鎖式エアウェイ

    (ウ)気管挿管用チューブ

    (エ)バッグバルブマスク(アンビュバッグ)

    b. AED

    c. 心電図モニター(付き除細動器)

    d. 救急医薬品(乳酸リンゲル液、エピネフリン、アミオダロン、ニフェカラント、アトロピン)

    e. 訓練用人形(不整脈を起こし、AED、気管挿管の実施が可能なもの)

    (9)テキストが、日本救急医療財団心肺蘇生法委員会監修「救急蘇生法の指針(医療従事者用)」(改訂四版)の内容を全て含むものであること

  • 4. 

    日本医師会は、研修会の指定を行ったとき、あるいは指定を行わなかったときは、その旨を遅滞なく当該都道府県医師会長に通知する。

  • 5. 

    日本医師会は、本条による申請を受け、又は指定を行うにあたって、手数料その他の費用を徴しない。

  • 6. 

    日本医師会は、研修会実施主体が、本条に定める指定を受けた旨を広報することを許諾する。ただし、営利を目的とする場合及び第10条により指定を取り消した場合を除く。

  • 7. 

    本研修の指定のための申請は、その実施日前1年内に行わなくてはならない。ただし、すでに実施した研修会にあっては、指定のための申請の受理日がその実施日から1年を経過していないものとする。

  • 7の2. 

     当分の間、前項の規定は適用しない。(※ 1年以上前の研修会であっても、申請の対象となる)

  • 8. 

    研修会は、相当の期間をあけて二回に分けて開催することができる。この場合、当該二回を合わせて一つの研修会とみなす。

  • 9 

    当日前にeラーニングによる効率的な知識の習得が行われていれば、研修会ではより効果的な実習を行うことができる。

【オプション研修等】 第9条
  •  

    日本医師会長は、前条による申請が行われた研修会の内容に、本要綱に定める学習目標やカリキュラム等を超えるものと認められる研修(以下、「オプション研修」)であって、次の各号に定めるものが含まれている場合は、これを修了証に特記できる事項とすることができる。

    (1)脳卒中への初期対応

    (2)外傷への初期対応

    (3)不整脈への初期対応

    (4)急性冠症候群への初期対応

    (5)小児の救命処置

    (6)災害医療(日本医師会「救急災害医療対策委員会」報告書(平成24年3月10日)参照)

    (7)その他、修了証に特記することが適当とみとめられるもの

  • 2. 

    日本医師会長は、専ら、前項の各号のいずれかに該当する項目を実施する研修会であって、第8条による申請がなされたものを、オプション研修会として指定することができる。

  • 3. 

    前項のオプション研修会については、本条に定める他、前二条の規定を準用する。

【研修会の指定の取り消し等】 第10条
  •  

    日本医師会長は、指定研修会が第8条第3項に定める基準に適合しなくなったときには、改めて同条による審査をし、その内容を勘案した上で、その指定を取り消すことができる。

  • 2. 

    日本医師会長は、研修会実施主体が、営利を目的とした本研修の利用その他本研修の品位を損ねる行為をしたときには、その指定を取り消すことができる。

  • 3. 

    日本医師会長は、指定研修会の指定を取り消したときには、遅滞なく当該研修会の承認をした都道府県医師会長にその旨を連絡するものとする。

第3章 修了証の交付
【修了証の交付の申請】 第11条
  •  

    修了証の交付は、研修会実施主体が当該指定研修会を修了したものと認め、かつ修了証の交付を受けることを希望する者(以下、「申請者」)に対して行うものとする。

  • 2. 

    修了証の交付のための申請は、当該指定研修会の承認をした都道府県医師会長が、細則に定める様式により行うものとする。

  • 3. 

    当該の都道府県医師会長及び研修会実施主体は、当該申請者が当該申請に係る指定研修会を修了した者であることについて、確認しなければならない。

  • 4. 

    日本医師会は、本条に定める申請を受けるにあたって、手数料その他の費用を徴しない。

  • 5. 

    修了証の様式は、細則に定めるものとする。

【修了証の交付の要件】 第12条
  •  

    日本医師会は、前条により修了証の交付のための申請を受理したときには、遅滞無く当該申請者が次の要件を満たしていることを確認しなければならない。

    (1)医師であること

    (2)当該研修会が指定研修会であること

    (3)当該指定研修会を修了していること

  • 2. 

    日本医師会は、研修会実施主体に対し、前項の資格の確認を行うにあたって必要な資料の提出を求めることができる。

【修了証の交付】 第13条
  •  

    日本医師会長は、当該申請者が前条に定めるいずれの要件をも満たしていることを確認したときには、当該指定研修会の承認をした都道府県医師会長を経由して当該申請者に修了証を交付する。

  • 2. 

    日本医師会は、修了証を交付するにあたって、手数料その他の費用を徴しない。

【オプション研修の修了、修了証への特記】 第14条
  •  

    日本医師会長は、当該指定研修会に第9条に定めるオプション研修が含まれており、かつ、修了証を交付した者がこれを修了した場合には、その意欲を尊重するため、修了証にその旨を特記することができる。

  • 2. 

    修了証を交付した者が、オプション研修会を修了した場合には、その意欲を尊重するため、交付した修了証にその旨を特記することができる。

  • 3. 

    日本医師会長は、前二項の特記に代えて証票を交付することができる。

  • 4. 

    修了証への特記に係る手続きについては、本条に定める他、前三条の規定を準用する。

【修了証の再交付】 第15条
  •  

    日本医師会長は、修了証を交付した者が修了証を喪失した場合には、その者の申請により、修了証を再交付する。

  • 2. 

    修了証の再交付に係る手続きについては、第11条乃至第13条の規定を準用する。

【修了者の登録】 第16条
  •  

    日本医師会は、「日本医師会ACLS(二次救命処置)研修修了者名簿」(以下、「修了者名簿」)を備え置き、修了証を交付したときには、遅滞無く次の各号に定める事項を登録する。なお、修了証を交付した後にオプション研修に係る特記をした場合の取扱いも同じとする。

    (1)修了証を交付した者の氏名及び住所

    (2)医籍登録番号又は日本医師会員ID番号

    (3)登録に係る指定研修会の名称

    (4)登録に係る指定研修会の実施主体

    (5)登録に係る指定研修会の受講日

    (6)第14条により修了証に特記できるオプション研修

  • 2. 

    修了者名簿の登録事項に変更が生じたときには、修了証を交付した者又は研修会実施主体は、細則に定める様式により遅滞無く当該指定研修会の承認をした都道府県医師会長を経由して日本医師会に届け出なければならない。

  • 3. 

    日本医師会は、本条に定める登録を行うにあたって、手数料その他の費用を徴しない。

  • 4. 

    日本医師会は、第1項の各号のうち、第一号、第三号乃至第六号の事項を全て公表することができる。ただし、同項第一号の修了者の住所は都道府県名に限る。

  • 5. 

    日本医師会は、修了証を交付した者が拒否した場合には、前項の公表をしない。

【再修了、修了証への追記】 第17条
  •  

    日本医師会長は、修了証を交付した者が指定研修会を再び修了した場合(以下、「再修了」)において、次項による確認をしたときには、その旨を修了証に追記する。

  • 2. 

    日本医師会は、前項に係る修了証の追記の申請を受理したときには、当該申請を行った者(以下、「再申請者」)の要件について、遅滞無く第12条に定める事項を確認しなければならない。

  • 3. 

    日本医師会長は、第1項の追記に代えて証票を交付することができる。

  • 4. 

    日本医師会は、修了証の追記を行ったときは、遅滞無くその旨を修了者名簿に登録する。

  • 5. 

    再修了については、本条に定める他、第11条から第16条の規定を準用する。

  • 6. 

    再修了に係る手続を再び行う場合は、本条の規定を準用する。

【修了証の交付の取り消し等】 第18条
  •  

    日本医師会長は、修了証を交付した者が次の各号のいずれかに該当すると認める場合には、修了証の交付を取り消し、交付した修了証の返還を求めることができる。また、第2号乃至第4号の事項に該当すると認める場合には、今次以後、当該者に係る修了証の交付の申請の受理を拒否することができる。

    (1)第12条に定める資格を有していない者と確認されたとき

    (2)医師の倫理に違反したとき

    (3)修了証を交付された事実を営利に利用したとき

    (4)その他本研修の品位を貶める言動をしたとき

  • 2. 

    日本医師会は、前項により、当該修了証の交付を取り消したときには、遅滞なく修了者名簿から当該者に係る登録を削除する。

第4章 雑則
【本要綱等の制定及び改廃】 第19条
  •  

    本要綱及び関係の規定等の制定及び改廃は、日本医師会がこれを行うものとする。

  • 2. 

    日本医師会が前項の制定及び重大な改廃を行うにあたっては、あらかじめ日本医師会救急災害医療対策委員会の意見を聴くものとする。

附 則
【施行期日】 第1条
  •  

    本要綱及び関係の規定等は、平成16年3月1日より施行する。

【経過措置】 第2条
  •  

    本要綱の施行の日前に実施された研修会であって、第8条による申請を行ったものについては、その実施日に関わらず、本研修における指定研修会の指定の対象とする。

  • 2. 

    本要綱の施行の日において、研修会実施主体が指定研修会を修了したとして認めている者であって、施行の日以降に第11条による修了証の交付の申請を行ったものについては、その修了日に関わらず、本研修における申請者とみなす。

  • 3. 

    前項により当該申請者について修了証の交付の要件を満たしていると確認された場合には、第3章の規定により、修了証を交付し、修了者名簿に登録する。

【本研修及び我が国におけるACLS教育の将来のあり方】 第3条
  •  

    日本医師会は、本研修及び我が国におけるACLS教育の将来のあり方について、次の各号に掲げる事項を中心に検討し、その実施に努めるものとする。

    (1)ACLS教育に関するテキストの整合

    (2)ACLS教育を指導する講師やインストラクター等の養成カリキュラムの統一

    (3)ACLS及びACLS教育に要する機器等の導入の推進方策

    (4)救急医療に従事する医師に対するACLS教育の普及

    (5)本研修の効果に対する検証

【改正要綱の施行期日】 第1条
  •  

    本要綱は、平成25年7月1日より施行する

別表 標準カリキュラム
教 科 内 容 概ねの時間
当日前テキストの熟読
  • 1. 

    医師による救命処置・治療実施の意義

  • 2-1. 

    BLS(一次救命処置)

  • 2-2. 

    ACLS(二次救命処置)

  • 3. 

    用語の説明

  • 4. 

    倫理的、法的な問題(特に医療機関外での処置時)

  • 5. 

    我が国の救急医療システム

I オリエンテーション
  • ACLSコースの概要説明、注意事項説明等
  • 心停止の予防について
20分
II BLS(一次救命処置)
  • BLSの手技
  • AEDの使用に習熟、モニター診断と除細動を併せて実施
1時間
III ACLS(二次救命処置)
  • 1. 

    気道確保・換気:気管挿管および声門上気道デバイス

  • 2. 

    救急医薬品の使用(輸液~静脈内投与、気管内投与、骨髄内投与)

  • 3. 

    心室細動(VF)/無脈性心室頻拍(Pulseless VT)に対する救命処置

  • 4. 

    無脈性電気活動(PEA)/心静止(Asystole)に対する救命処置

  • 5. 

    心拍再開後の集中治療(述べることができればよい)

約3~4時間(各50分)
IV 体験学的シミュレーション(メガコード)
  • ケーススタディによるチーム蘇生実習
  • a.救急医療設備が限られているケース(診療所、航空機内など)

    b.患者の発生からBLS、ACLSを一貫して行うケース

  • 除細動対応の訓練用人形、心電図モニター等を使用し、患者発生~通報~CPR(心肺蘇生)~除細動~薬剤投与~気道確保~原因検索等を実施
  • 通報、意識の確認、周囲への協力要請、役割分担、群衆コントロール、救急車への同乗の判断等を含む
1時間
V 反省会 質疑応答など 30分
VI 修了式   10分

(※ 時間には、準備・休憩時間を含む)

お問い合わせ

日本医師会地域医療課: