ワールドカップサッカー開催地等医師会対策会議が、5月10日、日医会館小講堂で開催され、ワールドカップサッカー開催地の医師会などが出席した。
櫻井秀也常任理事の司会で開会し、坪井栄孝会長は、ワールドカップサッカーに関して、「医療担当者としてできるだけの準備はしておく必要がある。どういう感染症が持ち込まれるかも分からないので、その対策も必要になる」旨あいさつした。
議事(1)として、羽生田俊常任理事が、「ワールドカップサッカー開催時における救急災害医療体制」について説明を行い、サッカー会場内はJAWOCが責任をもつことになっているので、医師会は会場外でなにかあったときに特に問題となることを指摘した。
次に、「集団災害時における一般医の役割について〜Mass gathering medicine〜」と題して、山本保博日医大教授がトリアージの方法などについて解説をした。
議事(2)として、雪下國雄常任理事が、「ワールドカップサッカー開催時における生物テロ対策」について、予想される感染症として、炭疸、天然痘、肺ペスト、ボツリヌス、野兎病をあげ、特に今回は天然痘が蓋然性が高く、その対策が必要であろうと述べた。また、5月20日から7月12日まで、日医にワールドカップ対策本部を設置して、24時間の連絡体制を確保すると報告。
次に、岡部信彦国立感染症研究所感染症情報センター長が、天然痘対策について触れ、万一患者が発生したときには、急激な発熱(39度前後)があり、第3〜4病日に一時解熱傾向となるが、再び高熱となるなどの鑑別診断に言及した。厚生労働省からは、ワールドカップ開催地では、症候群別サーベイランスを実施し、緊急重大な感染症に対しては相談窓口を国立感染症研究所に設けていること、ワクチンについても、天然痘ワクチン250万人分を準備していることなどの説明があった。
最後に、石川高明副会長が、医師会、JAWOC、自治体との連携を密にしてほしいと総括した。
◎日本医師会ワールドカップ対策本部
設置期間:5月20日〜7月12日
<ワールドカップ開催道府県+東京都、千葉県>
ワールドカップ開催期間中、携帯電話で、日医感染症危機管理対策室と24時間連携体制を確保する。
|
<ワールドカップ開催道府県>
期間中、毎日日報をFAXまたはメールで報告(ない場合もない旨報告)
|
<東京都、千葉県>
期間中、何かあった場合はすぐに報告
|
|
◎ワールドカップサッカーにおけるサーベイランス強化
|