日医ニュース 第871号(平成9年12月20日)

お知らせ

医師年金の安全確保と運営について(Q&A)


 銀行、証券、生保の相次ぐ経営破綻により、現在、わが国の金融界が混乱の最中にある折、医師年金の加入者からの問い合わせが増えております。そこで、加入者からの主な声を紹介し、お答えすることといたしました。医師年金の運営については、万全を期して臨む所存ですので、ご理解とご協力をお願いいたします。

 

Q1.医師年金は年金資産の運用をどこに委託しているのですか。また、その委託割合はどのようになっているのですか。

A.医師年金の運用は、会員の老後生活を保障する制度として、安全性の確保と有利な運用を図ることを目的としております。年金資産は、従来、信託銀行5社(三井、三菱、住友、東洋、大和)と生命保険5社(千代田、日本、第一、朝日、住友)に、それぞれ51.5%と48.5%の割合で運用・管理を委託しておりました。しかし、現在の厳しい経済環境に対応するため、このたび、受託会社の財政内容、収益力、運用実績、今後の運用方針等を十分に考慮し、委託先の委託割合を大幅に見直し、安全性の確保と運用の向上を図りました。また、生命保険会社の委託を45.5%と減額し、残りの3%は新規受託会社として採用したモルガン信託銀行と東京海上エム・シー投資顧問に委託することといたしております。

 

Q2.経済状況の一段の悪化に伴い、金融状況に対して不安感が拭えないが、医師年金の受託会社は大丈夫ですか。

A.経済の先行きは不透明な状況にあり、中立の第三者運用評価機関(日本公社債研究所)に依頼し、資産運用へのアドバイスを受けるとともに、それぞれの受託会社の財務体力の把握をしております。医師年金の資産のうち、信託銀行への委託分については、信託銀行固有の財産と信託財産とは切り離して分別管理されておりますので、万一、信託銀行が破綻しても医師年金の信託資産は保全されることとなっております。

 また、生命保険会社への委託分については、財政内容や収益力を分析し、不安のささやかれている会社については大幅にシェアダウンを行い、運用力のある会社にシフトさせております。

 今後とも年金委員会の意見に基づき、日医の判断により、安全性に不安が出た場合、委託機関と委託割合の変更を機敏に行ってまいりたいと思います。

 

Q3.日医は、医師年金をどのような体制・組織で運営しているのですか。また、その体制・組織は臨機応変に対応できるようになっているのですか。

A.医師年金の運営に関しては、日本医師会年金規程により、主に加入者の代表や学識経験者で構成する年金委員会が設置されており、年金財政計画の検討や決算の適否、制度運営の適正化の検討を行い、その結果を理事会で審議し、決定しております。また、専門的な見地から検討を要する場合には、必要に応じて生涯設計委員会を設置し、検討を行っております。平成10年4月から計算利率を3%下げさせていただきましたのも、このような手順を踏まえてのことです。今後は、運用環境の変化に対応するため、年金委員会の開催回数を増やすなど、機敏な対応が図れるようにいたしました。

 

Q4.最近、「情報公開」が叫ばれるようになりました。やはり、自分たちの将来設計にかかわる大切な問題ですから、医師年金も運用資産内容等に関して説明していただけないでしょうか。

A.従来から毎年3月に年金財政決算書をお送りし、財政状況をお知らせしてまいりました。情報公開の機運が高まっていることはご指摘のとおりです。医師年金も会員の老後の生活を保障する制度として資産運用を行っておりますが、会員の皆さまにいっそうのご理解を深めていただくために、今後、運用状況等を具体的にお知らせする方法を検討してまいりたいと思います。

 


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