日医ニュース 第890号(平成10年10月5日)

介護保険制度の概要(4)

介護支援専門員について


「介護保険制度の概要」シリーズの4回目は、介護支援専門員の位置付け、業務内容や養成の流れについて紹介する。

 

1.介護支援専門員の位置づけ

 1)介護支援専門員は、名称独占や業務独占といった、罰則でそれ以外の者による業務の実施や名称の使用を制限する法定資格ではない

 2)介護保険法上、居宅介護支援事業者(ケアプラン作成機関)や介護保険施設としての保険給付の対象となる指定を受けるため、人員基準上配置することとされている職員である。

 3)介護サービス計画(ケアプラン)を作成した場合には、居宅介護支援事業者や介護保険施設は、その作成費用を保険請求することができる。

2.介護支援専門員の業務内容

 1)居宅介護支援事業者の介護支援専門員

 (1)居宅サービス計画の作成

 ・居宅サービス計画とは、要介護者が在宅サービス等を適切に利用することができるよう、要介護者等の依頼を受けて、その心身の状況、置かれている環境、要介護者本人およびその家族の希望等を勘案し、利用する在宅サービス等の種類、内容、担当者等を定めるものであり、居宅介護支援事業者において作成する。

 ・具体的には、介護支援専門員が作成した居宅サービス計画の原案(叩き台)を、サービスを提供する予定の居宅サービス事業者の担当者を混えたケア会議に詔り、検討のうえ、要介護者本人等の了解を得て決定する。

居宅サービス計画の作成の際、医療サービスの部分については主治医の指示に従う。その他のサービスについては、主治医の留意事項等を尊重し作成する。

 (2)居宅サービス事業者との連絡調整等

 ・居宅サービス計画に基づく在宅サービス等の提供が確保されるよう、介護支援専門員が調整役となって、居宅サービス事業者等との連絡調整等を行なう。

 ・在宅の要介護者等が介護保険施設への入所を要する場合にあっては、介護支援専門員が調整役となって、介護保険施設の紹介等を行う。

 (3)要介護認定のための訪問調査

 ・要介護認定申請を受けた市町村は、申請者の心身の状態に関する訪問調査を、居宅介護支援事業者や介護保険施設に委託することができることになっており、この場合には、それらに配置された介護支援専門員等が調査を行なう。

 2)介護保険施設の介護支援専門員

 (1)施設サービス計画の作成

 ・介護老人福祉施設、介護老人保健施設および介護療養型医療施設の介護保険施設においては、施設サービス計画を作成し、当該計画に基づいてサービスを提供する。

 ・施設サービス計画は、介護保険施設において提供されるサービスの内容、これを担当する者等を定めるものであり、その施設に配置された介護支援専門員が調整役となって、他のスタッフと相談しながら作成される。その際、医療サービスの部分については主治医の指示に従う。その他のサービスについては、主治医の留意事項等を尊重し作成する

 (2)要介護認定のための訪問調査

 ・居宅介護支援事業者の場合と同様。

3.介護支援専門員の養成の流れ

 介護支援専門員の養成の流れを図1に示す。「介護支援専門員実務研修受講試験」は、保健・医療・福祉の分野で合計5年以上の実務経験を有している者が対象となっている。試験は、「介護支援専門員標準テキスト(財団法人長寿社会開発センター編)」をもとに、合計60問出題されるが、医師の場合、保健医療サービスの知識等の部分20問が免除される。回答免除者については、免除問題は正答の扱いとされる。

 実務研修は、試験合格者を対象に、合計32時間で実施される、試験事業、実務研修事業の実施主体は、都道府県または都道府県が指定した公益法人等の非営利団体となっており、介護支援専門員の試験に合格した医師や医療機関の従事者に対し効果的・効率的な研修を行なうためにも、各都道府県医師会単位で、事業指定を受けていただきたい。

 図1.介護支援専門員の養成の流れ

【対象者】
(受験資格)
・保健・医療・福祉の分野で、合計5年以上の実務経験を有しており、かつ、当該業務に従事した日数が900日以上の者など
 【試 験】
(試験目的)
・実務研修が受講できる基礎的知識の有無を確認する
(試験内容)
・介護保険制度に関する基礎的知識
・要介護認定および要支援認定に関する基礎的知識および技能
・サービス計画(ケアプラン)に関する基礎的知識および技能
・保健医療サービスおよび福祉サービスに関する基礎的知識および技能
(実施主体)
・都道府県または都道府県が指定した公益法人等の非営利団体
 【実務研修】
(研修内容)
・要介護認定および要支援認定に関する基礎的知識および技能
・サービス計画(ケアプラン)に関する基礎的知識および技能
(研修方法)
・受講者を10名ずつの班に分け、保健・医療・福祉の3名の指導者が1チームで、指導実施
(実施主体)
・都道府県または都道府県が指定した公益法人等の非営利団体
 【修了証明書発行】(実施主体名で発行)
 【業務実施】
・運営基準に基づき、業務を遂行

 

 [訂正]

 9月5日号の日医ニュースの平成10年度「かかりつけ医」意見書におきまして、介護サービス計画作成への利用に対する同意部分が抜けた旧フォーマットを誤って掲載いたしました。おわびして訂正させていただきます。


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