日医ニュース 第904号(平成11年5月5日)
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Q,現在厚生省の医療審議会で検討されている「急性期病床」の看護配置基準が,看護職員の需給全体に与える影響について教えてください. |
A,医療審議会に提出された厚生省試案では,急性期病床の看護配置基準を「入院患者4人に1人以上」を「2・5人に1人以上」としています.
日医総研では,この配置基準が実施された場合,看護職員(看護婦および准看護婦,以下「看護婦」という)数全体にどのような影響があるのか試算してみました.その結果,全国で約6万8千人の看護婦不足が生じることがわかりました.
現在1年間に,63,400人の看護婦が新卒で誕生していますが(平成10年),退職などによって職場を離れるのは51,800人.年間では11,600人が増加しているにすぎません.
急性期病床の看護配置基準が入院患者2.5人に1人以上となった場合,来年度施行される介護保険制度に係る看護婦の需要増を加え,急激な看護婦不足を招きかねない状況があるということです.
日医では,看護婦養成の現状を無視した配置基準の引き上げに反対しています.看護婦数を増やして,患者さんにより手厚い看護を提供することは大切なことですが,実態を省みない政策は医療現場に混乱を招き,結果的に,患者さんの入院環境にも悪影響を及ぼしかねません.看護配置基準は,看護婦養成の現状に合わせた,緩やかなシフトが求められるべきではないでしょうか.
(日医総研主任研究員 天瀬文彦)
●厚生省試案をもとにした看護職員必要数の試算
(小数点以下まるめによる誤差がある) 必要増員数の合計79,006人×0.86(*)=67,945人 |
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