日医ニュース 第904号(平成11年5月5日)

介護保険制度の概要11

療養型病床群について

 「介護保険制度の概要」シリーズの11回目は,施設サービスを提供する
介護療養型医療施設の中心と位置付けられる療養型病床群に関して,
指定のスケジュール,医療保険給付との関係等を解説する.

1.介護保険制度における療養型病床群

 療養型病床群は,介護保険制度施行時において,「介護保険適用の療養型病床群」と「医療保険適用の療養型病床群」の2種類が存在することになる.療養型病床群の入院対象者はおおむね表1のようになる.

表1.療養型病床群の入院対象者
種 類 対 象 者
介護保険適用の
療養型病床群
  • 満65歳以上で要介護度1以上の認定を受けた方
  • 満40歳以上満65歳未満で特定疾病を原因として要介護度1以上の認定を受けた方
医療保険適用の
療養型病床群
  • 要介護認定結果にかかわらず(自立・要支援と認定されたとしても)医療ニーズの高い方
  • 介護保険対象外である満40歳未満で長期療養を必要とする方              など(想定)

2.介護保険施設としての指定スケジュール

 介護保険適用の療養型病床群の指定は,平成11年3月31日に公布された厚生省令に定められる人員および設備・運営基準を満たしていることを要件に,原則病棟単位で,中小規模施設においては例外的に病室単位でも行われる.介護保険適用病床と医療保険適用病床の割合は申請者が決定でき,同一施設に混在させることも可能となっている.
 指定は,各市町村の定める介護保険事業計画や都道府県の定める介護保険事業支援計画の策定等と関係し,おおむね表2のスケジュールで行われることが予定されている.具体的には,10月から指定申請の受付を開始し,約3カ月間にわたり受付したものについて,平成12年1月にまとめて指定の通知が行われることになる.

表2.介護保険適用の医療型病床群の指定スケジュール

3.医療保険給付との関係

 介護保険施設の指定を受けた療養型病床群における介護保険給付と医療保険給付の関係は,表3のようにまとめられる.介護保険適用の療養型病床群であっても,入院患者の医療ニーズに十分対応できるよう,医療行為が適正に評価されるような仕組みとなっている.
 なお,介護保険適用の療養型病床群の入院患者にかかる給付の一部負担額は,表3の給付の区分けに対応して,
 (1)部分:要介護度に応じた介護保険給付の1割
 (2)部分:行われた医療行為の点数の1割
 (3)部分:老人医療費の外来分(医療行為のあった日につき1回分)
となる予定である.その他,食費と日常生活費が利用者の負担とされる.
 また,急性増悪期などで一般病床に転棟した場合や,やむを得ない理由により転棟できず,そのまま介護保険適用の療養型病床群において医療行為を受けた場合には,介護保険からの給付は行われず,すべて医療保険からの給付となり,給付の一部負担についても,老人医療費の入院負担分(平成12年度は1日につき1,200円)のみとなる予定である.

表3.療養型病床群における医療行為の給付の区分け
介護保険給付 医療保険給付
(1)包括評価 (2)出来高評価 (3)出来高評価
診療報酬における
基本診療料,検査,投薬
注射,一部の処置
長期療養に対応する
日常的医療行為
・リハビリテーション
・X線単純撮影
・処置(腹腔穿刺等)
・指導管理
頻度が少ない
複雑な医療行為
・手術の大部分
・麻酔
・透析
・放射線治療


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