日医ニュース 第975号(平成14年4月20日)

第106回日本医師会定例代議員会「緊急動議」
診療報酬マイナス改定で厳重抗議


 石川育成代議員会副議長は,四月九日,日医会館で「緊急動議」に関する記者会見を行った.
 これは,四月二日に開催された第百六回日本医師会定例代議員会で,診療報酬のマイナス改定に関する緊急動議が議決され,文書の取り扱いは代議員会正副議長に一任となっていたもの.
 石川副議長は,「本日,関原敬次郎議長とともに,坂口力厚生労働大臣,麻生太郎自民党政調会長,安倍晋三内閣官房副長官,山崎拓自民党幹事長,北側一雄公明党政調会長,井上喜一保守党政調会長に直接会い,抗議文を手渡し,理解を得るよう努めてきた」と述べ,「小泉総理とは日程の都合で会えなかったが,ほとんどの先生方は理解を示してくれた」との感触を得たことを報告した.
 もっと具体的に抗議内容を示してほしいとの要請に応え,今後は日医執行部と協力し,都道府県医師会が責任を持って,それぞれの医療機関を調査し,実際的な数字を示して行く予定であることを明らかにした.例えば,すべての診療科について数字を出したうえで,科によってはマイナスの改定の影響が二・七%にとどまらないということを明白にしていくことになる.
 石川副議長は,「ある診療科では,二〇数%マイナスになるともいわれており,これでは医療機関の経営が成り立たない」とも述べ,調査は二カ月間くらいを考えているとした.

抗   議

 平成十四年四月二日開催の第一〇六回日本医師会定例代議員会において,緊急動議が提出され,議決されたので,左記の通り厳重に抗議する.

 今回の診療報酬改定は,財政面の視点による大改悪であり,単なるマイナス改定にとどまらず,医療の本質を無視した暴挙である.
 この無定見な改定による影響は,想像を遥かに超え,二・七%のマイナスにとどまらない.
 保険診療の抑制と保険外負担の大幅な拡大等により,国民の受療権が侵害され,国民の命と健康が危険にさらされるのは明白である.
 また,医療現場を知らない小手先の点数操作により,多くの医療機関はその存在を脅かされ,医療の質の低下が懸念される.
 今回の改定は,地域医療,即ち国民医療の崩壊を招く内容であり到底容認できるものではない.よって,直ちに再度改定作業を行なうべきである.
 我々は,医療制度改革の必要性を充分に理解し,マイナス改定もあえて甘受したが,「医療の本質」を揺るがす改悪には,国民の健康を守るために,地域住民と共に手を携えて,最後まで闘う事を宣言する.
 ここに日医十五万会員の声を代表し抗議する.

平成十四年四月九日
日本医師会代議員会議長 関 原 敬次郎
副議長 石 川 育 成

内閣総理大臣 小 泉 純一郎 殿


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