日医ニュース 第979号(平成14年6月20日)
長期入院患者の実態を調査 |
青柳俊副会長は,五月二十一日,「療養病床における長期入院患者の実態」について記者会見を行い,以下の説明を行った.
本調査は,本年十月から導入される,長期入院患者に対する特定療養費制度導入のあり方を検証すべく,その実態を調べたもの.
調査対象は,介護療養型医療施設連絡協議会会員のうち,回答の得られた三十三病院と療養病床入院患者四千六百四十名(医療療養病床千九百二十九名,介護療養病床二千七百十一名).調査時期は,平成十三年九月入院分.平均入院期間は,医療保険一・九年,介護保険二・六年.
医療療養病床の状況をみると,六カ月超入院患者は全体の六四・九%,「寝たきり者(ランクB以上)」は五八・〇%,痴呆度「ランク III 以上」は四四・二%を占めていた.六カ月超入院患者の主傷病では,脳血管疾患が五六・二%を占め,次いで神経系疾患一〇・〇%,損傷等九・二%の順.
処置受療率を「六カ月未満」「六カ月超」で比較すると,六カ月超の入院患者で,経管栄養,喀痰・吸引,胃瘻等のケア,中心静脈栄養,透析,気管切開処置などの受療率が高い状況(特に経管栄養,喀痰・吸引,胃瘻等のケア).また,個別リハでは,入院期間が長くなると受療率は低くなっているが,六カ月超でも九・六%が個別理学療法を受けていた.
次に,「退院の見込みはない」者の処置受療率をみると,経管栄養三六・六%,喀痰・吸引三六・六%など,退院可能者に比べ,非常に高い受療率であり,これらの処置が退院を長期化,困難化させている要因の一つと考えられた.また,退院困難者に対する必要な受入体制では,家族等の介護力の確保,医療面の支援,生活支援などの複数項目の整備が必要な状況であった.
今後,これら長期入院患者の実態を踏まえ,特定療養費の対象除外者の範囲(通知部分),長期入院患者の受け皿体制のあり方を検討していく予定である.