|
第1002号(平成15年6月5日) |
中医協
「再診科の月内逓減制」撤廃決定(6月1日実施)
再診料・外来管理加算・外来診療料の月内逓減制の撤廃が,六月一日より実施されることが決定した.
五月二十一日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)では,日医がこれまで再三に渡って主張してきた「再診料等の月内逓減制」を撤廃する内容での諮問がなされ,諮問のとおり改正する旨答申された.この結果,現行では再診回数に応じて点数の異なっていた再診料等は,本年六月一日より下掲のように変更されることとなった.
平成十四年四月の診療報酬改定では史上初のマイナス改定(△二・七%)を余儀なくされたが,当時の社会状況を考えると,「これ以上国民負担を増やしたくない」との苦渋の選択であった.
しかし,診療報酬引き下げの方策として導入された「再診料等の月内逓減制」が,受診回数や月またぎによっては「一物多価」となる矛盾を発生させ,医療現場では患者さんに説明責任が果たせない状況が続いていた.
日医では,「緊急改定」を目指し,昨年四月以降,都道府県・郡市区医師会等を通じ,各会員の協力のもと,「緊急レセプト調査」「医業経営実態調査」「第二次レセプト調査」を実施し,医業経営の実態の把握に努めた.
この間,中医協は実に三十八回開催された.そのなかでは,青柳俊副会長を中心に,問題点の指摘や調査結果に基づく医療機関の現状を訴え続け,新たな保険財源を求めない形での早期の見直しを強く求めてきた.
不合理是正を実現
当日の議論のなかでも,青柳副会長は,再診料の逓減制によって患者さんに医療機関に対する不信感が生じ,それが医師と患者さんとの間の信頼関係を阻害する要因になっていることを具体的な事例を示しながら説明し,改めてその見直しを主張.支払側も患者さん側に生じている問題の是正に理解を示し,今回の結論となった.
中医協終了後,記者会見を行った青柳副会長は,答申に至った感想を次のように述べた.
「今回の措置によって,日医の重要な主張である『不合理の是正』が実現できたことに大変満足している.また,改定年度以外で告示レベルで対応するという異例の対応ができたことは大変意義があることだと思っている.
会員の先生方からは,今回の措置によって,診療科によっては影響が出てくるところもあるのではないかとの指摘を受けるかも知れない.しかし,再診料逓減制による不合理をなくすことと,診療科ごとのバラツキをなくすことと,どちらに重みがあるのだろうか.
われわれは,昨年の診療報酬改定以来,各方面から意見を聞いてきたが,それを整理してみると,不合理の是正を求める意見が圧倒的に多かった.そのため,今回,われわれは,再診料逓減制の見直しを優先させることとした.
両方の問題を解決できればよかったのだろうが,その点についてはご理解願いたい」
|