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第1042号(平成17年2月5日) |
第3回広報戦略会議
「医療における危機管理」に関し協議

広報戦略会議の第三回会合が,一月二十日,日医会館で開催された.
当日の議事は,まず,田中正博委員(田中危機管理・広報事務所所長/元電通PRセンター専務取締役)からの「医療における危機管理―医療事故・紛争の予防策と発生時の対応―」に関する話題提供のあと,引き続き,「危機管理」に関しての協議を行った.
田中委員は,自身の手術・入院体験などを交えながら,(一)医療機関における危機の原因とその予防策では,“筋論クレーマー”が増加している現状を紹介.初期対応の「三つの心得」として,(1)傾聴(2)面談(3)迅速を挙げ,特に最初の心証が大切で,「誠意の欠如」には要注意であり,職場内のコミュニケーションをよくすることが重要だとした.(二)危機を未然に防ぐための課題では,職員一人ひとりの「危機管理意識」を高めることが抑止力になるとし,(三)危機防止のための「六つの行動指針」を示した.また,(四)危機発生時のクライシス・コミュニケーションでは,実際の事例を紹介しながら,(1)スピード(2)情報開示(3)社会的視点からの判断の三つのキーワードについて説明した.さらに,第三者に正確な事実関係を理解してもらうツールとしての「ポジションペーパー」の重要性を強調した.
その後のフリートーキングでは,各委員から,「近年,団体広報は,一企業の不祥事にも業界全体で対応するようにシフトしており,今後は,医療機関ごとではなく,医師会としての危機管理を考えていくべきではないか」「医師会として管理しなければならない危機とは何か,共通の認識を持つべき」「任意加入団体の強制力の脆弱さはあるが,リピーター医師への再教育など,地道な努力が必要」「やはり最初の対応が,報道関係者のイメージを変える」「“医の倫理指針”など,報告書やマニュアルを出して終わりではなく,その活用法を考えるべき」などの意見が出され,個々の医師の危機管理・医師会としての危機管理について,白熱した議論が交わされた.
今後,危機管理広報に関するマニュアル作成のために,機動性の高い小委員会をつくり,検討していくことになった.
次回は,三月十七日に開催の予定.
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