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第1065号(平成18年1月20日) |
厚労省「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会」
看護師等の内診は両論併記

厚生労働省の「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会」(日医より青木重孝常任理事が出席)では,昨年四月から十三回にわたり議論を行ってきたが,このほど,報告書をとりまとめた.
この検討会は,医療提供体制のあり方について議論を行う社会保障審議会医療部会で,検討すべき論点として指摘された看護に関連する課題について,患者の視点で医療安全を確保するという観点から,さらに掘り下げた検討を行うため設置されたものである.
検討会では,(一)看護師資格を持たない保健師及び助産師の看護業務,(二)免許保持者の届出義務,(三)助産師,看護師,准看護師資格の名称独占,(四)行政処分を受けた看護師等に対する再教育,(五)助産所の嘱託医師,(六)新人看護職員の研修のあり方,(七)産科における看護師等の業務,(八)その他─について検討してきた.
とりまとめの内容は,以下のとおり.
(一)については,保健師,助産師国家試験の科目に看護師国家試験科目を加えるなどの方法により改善を図るべき.
(二)では,医師と同様の届出義務を課すことには意見の一致をみなかったが,例えば,看護師等の人材確保法において,人材確保の観点からの届出制などの措置を講じることについて積極的に検討すべき.
(三)は,次期医療法改正と合わせて法を改正し,助産師,看護師,准看護師の名称独占を導入すべき.また,保健師も保健指導業務に限定しない一般的な名称独占とすべき.
(四)は,基本的には医師等と同様の措置を講じるべく,次期医師法等の改正と合わせて法の改正を行うべき.
(五)助産所の嘱託医師は産科医師とし,そのうえで,嘱託医師では十分に対応できない場合の後方支援として,連携医療機関を確保するための制度的措置を講じる.
(六)看護師の資質を確保し向上させるためには,新人看護職員研修を何らかの形で制度化することは不可欠であり,制度のあり方,実施に際しての課題について,別途検討会を設け,検討する必要がある.
(七)看護師等の内診問題については,見直し論と反対論・慎重論が両論併記となり,結論は先送りになった.助産師の需給状況・確保策については,十二月の需給見通しの確定を踏まえて,また,産科における看護師等の業務については,助産師の確保策を推進する一方,保健師助産師看護師法のあり方を含めて,それぞれ別途検討する.
産科における看護師等の業務(内診問題)については,昨年十一月七日に青木常任理事が,清川尚日本産婦人科医会副会長,石渡勇日本産婦人科医会茨城県支部長,稲葉憲之日本産科婦人科学会常務理事とともに都内で会見を行い,深刻化する助産師不足と厚労省通知の影響から,分娩機関の減少が続いている現状に対して危機感を示すとともに,厚労省に対して分娩経過観察における子宮口の開大度と児頭下降度の確認という内診の一部を,一定の教育を受けた看護師が行うことを認めるように訴えた.
(八)その他─看護記録については,病院における診療の諸記録のなかに看護記録が当然に含まれていることを明らかにする制度的措置を講ずる必要がある.また,看護職員の専門性の向上については,専門性を認定する体制,認定基準に関する検証,整理が必要であるとした.また,専門性の高い看護師の広告については,医療部会における広告のあり方についての検討結果を踏まえ,制度的な措置を講ずることも考えられる,としている.
なお,本検討会のまとめは,十一月二十四日に開催された社会保障審議会医療部会に提出された.
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