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第1081号(平成18年9月20日) |

「キレる」現象

普段目立たない子が,ささいなことで「ムカツキ」,突然に「キレる」,その揚げ句に取り返しのつかないような攻撃に出る.
広辞苑第五版で初めて上記のような意味の「切れる」が現代用語として登場している.
恐らく,刊行当時の新聞紙上をにぎわしていた,若者が起こす異常な事件に対して定着した言葉であろう.その言葉には,戦争を前後して生まれた「旧人類」からすれば,事件そのものを到底理解することが難しいという意味が込められている.
さらには,新聞で騒がれる凶悪な少年非行以外にも,最近では,学級崩壊,学校内暴力,不登校など,学校内でのトラブルも多く,子どもの心に何か根源的な変化を及ぼす原因があるのではないかとは,だれもが感じている.
その原因を家庭での育て方に求めるのか,学校の教育に求めるのか,あるいは地域の社会力に求めるのか,かかわる専門的な領域によっては,さまざまな原因と対策が専門家により提案されている.
しかし,この突発的に「キレる」異常な攻撃性の説明には不十分だと思われる.
その意味で,このような危機にある子どもたちを,「脳」の視点から学術的に分析を行った『子どもの脳が危ない』(福島章上智大教授著,PHP研究所)は,いくぶん衝撃的な内容にもかかわらず,その提言には重要な警告が感じられる.
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