|
第1095号(平成19年4月20日) |
4月4日
厚生労働省医政局長通知について「崩壊の危機に瀕した周産期医療を守るという視点で見て欲しい」
木下勝之常任理事は,厚生労働省医政局長通知「分娩における医師,助産師,看護師等の役割分担と連携等について」(三月三十日付)に関して,会見を行った.
同常任理事は,「今回,通知が出された背景には,看護師の内診問題とのかかわりで,産科の診療所が次々に分娩から撤退していくという,周産期医療崩壊の危機がある.今回の通知で医療現場の実態とそぐわない面への配慮がなされたと考えている」と述べた.
産科医療は本来的にリスクを伴うもので,病院,診療所だけでなく,この四月から産科医または産婦人科医の嘱託医の配置を義務付けられた助産所も含めて,しっかりとした地域的連携体制を構築していかなければならないとして,「現実には,産科の診療所などでは,助産師がおらず看護師しかいない所で数万件の分娩が行われている.一月に日医総研が調査したところ,このままの状況では,およそ二割の産科診療所が分娩の扱いをやめるといっており,このままでは全国で約十万人のための分娩施設がなくなることになる.日医としては,何としても周産期医療を守りたいと考えている」と話した.
また,同常任理事は,「そのような背景のなかで出された局長通知であり,対立関係の構図としてとらえて欲しくない.報道機関も,内診ができるか否かという視点ではなく,医師,助産師,看護師がともに助け合って周産期医療を守るという視点で報道して欲しい」と要望.「安心して赤ちゃんを産むことができる体制,環境をつくることが大切であり,今回の通知は,そうした体制をつくるうえでの,医師,看護師,助産師の役割分担を明確化してくれたものと受け止めている」と話した.
|