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第1096号(平成19年5月5日) |

太っていることは罪か?

結婚を境に徐々に太り出し,三十五歳ごろには文句のつけようもない肥満体になったまま,さらに十数年経ってしまった.太ってしまうのは血統のせいかと自問しつつも,ある日,思い切ってダイエット食に挑戦してみて,やっとの思いで十キロ近く減量に成功したことがある.たまたま,数年前の日医学校医講習会で,講師が話された「統計学的には小太りな体型は最も寿命が長い……云々」を聞いたことと関係があるのかないのか,ともかく今は,元の体重に戻ってしまっている.
来年度に実施されるメタボリックシンドロームの患者・予備群を選定するための特定健診・特定保健指導が始まると,腹囲八十五cm以上の男性,九十cm以上の女性は少なからず肩身の狭い思いをすることになる.
介護保険にも導入された階層化判定では,腹囲の減少か,薬以外によって検査値を改善することが必要で,腹囲・体重と食事・運動の状況が主にチェックを受ける.目標達成のために保険者はペナルティーが課せられているから,これからは肥満気味な組合員の尻を猛烈に叩くことになるのであろう.経団連では,健診や保健指導を受けない加入者については,何らかのディスインセンティブを検討しているようで,お腹の出た人たちにとっては,“仕事帰りに一杯”なんて気楽な生活とはお別れする羽目にもなりかねない.
皇居の周りをジョギングしている外国人の姿をよく目撃するが,彼らも必ずしも運動大好き人間ばかりではないのかも知れない.
(鎌)
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