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第1122号(平成20年6月5日) |
第179回世界医師会(WMA)中間理事会開催される
岩砂副会長,石井常任理事,畔柳参与が出席
第百七十九回世界医師会中間理事会が,五月十五日から十七日まで,フランスのディボンヌで開催され,三十二医師会,オブザーバー三団体より約百四十名が参加した.本会からは,岩砂和雄副会長,石井正三常任理事ならびに畔柳達雄参与が出席した.
理事会における議事内容などの概要は,以下のとおりである.
(一)医の倫理関係
(1)各国医師会にコメントを求めるため回付する文書
「幹細胞研究に関するWMA声明案」
(2)総会へ付託する文書
「プロフェッショナル・オートノミーと臨床上の独立性に関するWMA宣言案」
(3)作業部会で検討する文書
「医師主導の職業規範に関する宣言案およびコメント」
日医は,上記宣言案作成のための作業部会に加わる.
(4)ヘルシンキ宣言(DoH)の改訂について
委員会で提起された論点を,日医を含む作業部会で再検討した後,各国医師会と利害関係者に回付し,コメントを求める.作業部会がまとめた最終案は,十月のソウル総会に送られる.「小児を対象とする医学研究の倫理的原則に関する声明案」は,DoHとは個別の文書にせず,声明案の適切な条項をDoHに包含するべく作業部会にて検討する.
(5)既存文書の整理
十年前に採択された三件の決議,宣言を見直し,二件はアーカイブ化とし,「子どものヘルスケアへのアクセスに関するオタワ宣言」を大幅に修正する.
(6)新規文書
「死刑に関する決議」は,アメリカとフランス医師会が共同で文書内容の修正を行う.
(二)財務企画関係
(1)今後の総会・中間理事会開催地について,主催医師会の報告ならびに二〇〇九,二〇一〇年総会の学術集会テーマが承認された.
二〇〇八年総会(ソウル,韓国)
二〇〇九年中間理事会(テルアビブ,イスラエル)
二〇〇九年総会(ムンバイ,インド)
学術集会テーマ:「多剤耐性結核菌(MDR-TB)と感染症対策から得られた教訓について」
二〇一〇年中間理事会(ディボンヌ,フランス)
二〇一〇年総会(バンクーバー,カナダ)
学術集会テーマ:「医療と環境」
(2)新規加盟申請
ウクライナ,コートジボワール,セネガル,マリ,キプロス各医師会の加盟申請を受理し,総会に付託する.
(3)準会員会議の改革
アメリカ医師会ジョンソン元会長と日医が中心となり,改革案を作成する.
(三)社会医学関係
(1)各国医師会にコメントを求めるため回付する文書
「ヘルスケアにおける質の持続的改善のためのガイドラインに関する宣言修正案およびコメント」他一件
(2)総会へ付託する文書
「抗微生物薬の耐性に関するWMA声明修正案」他四件
(3)既存文書の整理
十年前に採択された「核実験に関する宣言」など六件の宣言,決議は修正すべきものとアーカイブ化するものと分類を行った.
(4)新規文書
「健康と環境に関する声明」は,カナダ医師会が主導して文書化する.その作業には,日医も加わる.一方,「医薬品の処方に関する声明」は作業部会を設置して提示された文書を見直す.
(四)各国との交流
日医の参加役員は,アメリカ,フィンランド,韓国,台湾,南アフリカ各医師会と医療制度などについて,意見交換を行った.
理事会終了後,日医から出席した一行は,ジュネーブへ移動し,「規制に関する医療専門職会議」に参加した.この会議は,WMA,世界看護協会,国際医薬品連盟,世界歯科医師会,世界物理療法連盟が共同主催するもので,当日は法的および政策的枠組み,ヘルスケアニーズに対する医療専門家の役割,規制組織と説明責任などに関する講演ならびに質疑応答が行われた.
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