日医ニュース
日医ニュース目次 第1133号(平成20年11月20日)

世界医師会(WMA)ソウル総会開催される
─ヘルシンキ宣言修正案,ソウル宣言などが採択される─

世界医師会(WMA)ソウル総会開催される/─ヘルシンキ宣言修正案,ソウル宣言などが採択される─(写真) 世界医師会(WMA)ソウル総会が,十月十五日から十八日まで,韓国のソウルで開催された.
 日医からは,唐澤人会長(WMA理事),岩砂和雄副会長(WMA副議長),鈴木聰男理事,羽生田俊・飯沼雅朗・石井正三(WMA理事)各常任理事,大西雄太郎監事,米盛學副議長,畔柳達雄・手塚一男両参与が出席した.その他,四十一加盟医師会の代表および国際機関から,総勢三百七十三名が参加,このうち日本からは三十名であった.
 総会は,十五日に理事会と常設委員会(医の倫理,財務企画,社会医学),十六日に準会員会議と学術集会が開催された.
 十七日は理事本会議と総会式典が行われ,総会式典において,イスラエル医師会のブレイシャー氏が第六十代WMA会長に就任した.
 十八日の総会全体会議では,次期会長にカナダ医師会のハンソン氏が選出された.
 また,クロイバーWMA事務総長より,総会の内容を充実するうえで,日医を含む数カ国の医師会に対し,その努力を讃える旨の発言があった.
 総会での主な議決事項は,以下のとおりである.
(一)医の倫理関係
 (1)新たに採択された文書
 「プロフェッショナル・オートノミーと臨床上の独立性に関するWMAソウル宣言」
 (2)修正案が採択された主な既存文書
 ・「ヘルシンキ宣言」:
 過去一年間に三回の作業部会を開催し,さらにWMA以外にも多くの関連分野の専門家から意見を聴取した.
 主な修正内容は,プラセボと被験者の人権にかかわる項目である.修正された全文は,日医のホームページに掲載されている.
(二)社会医学関係
 (1)新たに採択された主な文書
 「食事からのナトリウム摂取量の削減に関するWMA声明」
 (2)修正案が採択された主な既存文書
 「抗微生物薬の耐性に関するWMA声明」
(三)財務企画関係
 (1)今後の総会開催予定地
 二〇〇九年:インド〔ムンバイ・学術集会テーマ:多剤耐性結核(MRD─TB)とその流行から得られた教訓〕
 二〇一〇年:カナダ(バンクーバー・学術集会テーマ:健康と環境)
 二〇一一年:ウルグアイ
 二〇一二年:タイ
 (2)今後の理事会開催地
 二〇〇九年:イスラエル(テルアビブ)
 二〇一〇年:フランス(ディボンヌ・レ・バン)
 (3)新規加盟医師会
 ウクライナ,コートジボワール,セネガル,マリ,キプロス,アルバニア,アンゴラ,ポーランド各国医師会(加盟医師会総数は九十四となった)
(四)準会員会議
 石井常任理事が,準会員会議の内容の活性化を図るための改革案を提出.これに対し,大西監事を含む多くの準会員から,その趣旨に賛同するコメントが表明された.
 その結果,石井常任理事を始めとする各国の準会員によって作業部会を設立し,二〇〇九年五月の中間理事会に向けて,より具体的な改革実行案を作成することとなった.
 その他の案件は,旧日本帝国陸軍の七三一部隊にかかわる決議案を含めてすべて否決され,今後三年間は討議されないこととなった.
(五)学術集会
 学術集会では,「健康と人権」をテーマに,基調講演と三つのトピック(健康と人権─社会的見地から,健康と人権─環境の見地から,医の倫理と人権擁護)について,十名の演者による講演が行われ,活発な議論が行われた.日医からは,手塚参与が,「複合大気汚染と人権」と題する講演を行った.
 なお,総会会期中に,アジア大洋州医師会連合(CMAAO)加盟医師会ならびに韓国医師会と個別に意見交換を行った.

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