日医ニュース
日医ニュース目次 第1147号(平成21年6月20日)

医療安全全国共同行動“いのちをまもるパートナーズ”
医療安全全国フォーラムを開催

 医療に伴う有害事象を減らすために,平成二十年五月から二十二年五月の二年間の期限を設け,職種横断的,全国的な取り組みを展開することを内容とする共同行動の,二年目の始まりに際する全国フォーラムが,五月三十日,東京都内で開催された.
 午前中は行動目標ごとに分科会に分かれてワークショップを開催.午後からの全体セッションでは,冒頭,本共同行動の推進会議メンバーの一員である木下勝之常任理事が,唐澤人会長の代理として,「この一年間も医療界にとっては忘れることの出来ない大きな出来事がたくさんあった.われわれには,今後もめまぐるしく変化するであろう医療環境に対応できる真の力が要求されている.医療者が職種や立場の壁を越え,さまざまな団体,学会,行政,患者,地域社会が一致協力して医療事故の防止と信頼される医療の確立を目指すこの共同行動の意義を強く実感する」とあいさつした.
 続いて,前英国医師会長,ロンドン大学名誉教授であるブライアン・ジャーマン卿による「英国における改善の指標─標準化病院死亡比の活用ほか」と題する特別講演が,邉見公雄全自病協会長の司会で行われた.講演の中でジャーマン卿は,標準化病院死亡比(HSMR)のしくみを紹介し,病院における特定の診断名をもとに死亡率を調査・公表し,地域住民が自由に検索出来るシステムを構築したことにより,実際に,いくつかの病院で死亡率が大幅に減少した実例を報告した.さらに,これらの取り組みで最も大切なことは,「自ら変える」という情熱をもって臨むことであると締めくくった.
 全体セッションの後半は,ジャーマン卿を交えて,鮎澤純子九大准教授,種田憲一郎氏(国立保健医療科学院)による「医療安全の評価と“視(み)える化”」と題するパネル討議が,大井利夫日病副会長の司会で行われ,九大病院における取り組みの過程や,海外における実例などが紹介された.
 今回の全国フォーラムに続き,今夏は,同共同行動に関連するセミナー等が各地で計画されており,十一月には,まとめとしての「医療安全全国フォーラム」も東京で開催される予定.詳細は,医療安全全国共同行動の以下のサイトを参照. http://kyodokodo.jp/

医療安全全国共同行動 8つの行動目標

行動目標1 危険薬の誤投与防止
行動目標2 周術期肺塞栓症の予防
行動目標3 危険手技の安全な実施
行動目標4 医療関連感染症の防止
行動目標5 医療機器の安全な操作と管理
行動目標6 急変時の迅速対応
行動目標7 事例要因分析から改善へ
行動目標8 患者・市民の医療参加

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