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第1160号(平成22年1月5日) |

平準化

辞書を引くと,平準化とは「ものを水平にすること.でこぼこしたものを平らにならすこと」とある.
行政刷新会議の診療報酬の配分では,開業医,勤務医の平準化は評価者の多くの支持があったため,結論として「見直しを行う」とされた.
また,財務省のホームページ上の「医療予算について」でも,開業医の報酬を勤務医と公平になるように見直すとなっている.
財務省はさらに,開業医は勤務医よりも勤務時間が短いことも挙げており,平たく言えば「開業医が楽をして高給を取っているのはけしからん」と言いたいのだろう.勤務医と開業医の間に楔を打ち込んで対立を煽り,本質的な議論を避けたい財務省の気持ちは分かるが,情けないことである.
事業主である開業医と給与所得者である勤務医の給与を,単純に比較しても意味はない.また開示してある開業医の給与の根拠も恣意的である.高給取りとされた整形外科の損益分岐点は九五・五%であり,厳しい経営状況であることは分かるはずだ.
話は変わるが,個別指導の時間の平準化を図りたいとの意向は,地方厚生局の願望のようだ.
この場合は,指導時間の長い方に合わせることを意味しており,厳密には平準化とは言えないだろう.社会保険事務局から厚生局へ業務移管した原因を考えれば,何をか言わんやと思うのだが.
平準化して欲しいのは,人種や学歴,出自に対する偏見や貧富の差などである.役人が平準化という言葉を使用する場合,医師側にとっては,あまり良い意味はないようだ.
(北)
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