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第1166号(平成22年4月5日) |
3月24日
勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会報告書「勤務医の健康支援策の具体的展開」を公表
今村(聡)常任理事は,勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会が,唐澤人会長からの諮問「勤務医の健康支援策の具体的展開」について答申を取りまとめ,三月十九日に保坂隆委員長(東海大学医学部教授)から唐澤会長に提出したことを報告した.
本委員会では,平成二十年度に会長諮問「勤務医の健康支援のための具体的方策」について中間報告を取りまとめていたが,二十一年度は前年度に実施した「勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査」の集計結果の解析と,中間報告書における提案の具体化に向けて検討を行った.
答申は,(一)「勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査報告書」概要,(二)「医師が元気に働くための七カ条」と「勤務医の健康を守る病院七カ条」,(三)勤務医の健康支援のためのE-メール・電話による健康相談,(四)医師の職場環境改善ワークショップ研修会の報告,(五)委員会活動の成果発表,(六)おわりに─からなっている.
なお,(一)と(二)については,昨年九月二日の定例会見で,詳細について報告済みである.
(一)の調査は,日医会員のうち勤務医一万人を対象に調査票を送付し,三千八百七十九人から有効回答を得たもので,(1)二人に一人が,休日が月に四日以下で,月に八日以上の休みが取れていたのは,男性で一八%,女性で三二%であった(2)病床数が増えるにつれ,平均睡眠時間が減る傾向があり,休日も少ない傾向があった(3)二人に一人は半年以内に一回以上,患者からの不当なクレームの経験があった(4)二人に一人は自身の体調不良を他人に相談しないと答えた(5)六%が一週間に数回以上,死や自殺について考えていた(6)九%の回答者がメンタルヘルス面でのサポートが必要と考えられた─などの現状が明らかにされている.
(二)では,(一)の調査結果を踏まえ,医師に向けて提案する「医師が元気に働くための七カ条」と,病院に向けて提案する「勤務医の健康を守る病院七カ条」を定め,リーフレットを作成・配布したことが記述されている.
(三)では,E-メールによる健康相談を二十一年十月十五日から三カ月間実施し,十件の相談が寄せられたことを報告.一方,電話相談は二十一年十二月五日(土)のみ試験的に行われたが,相談件数は〇件であり,「医師という職種は自分自身の健康について,匿名であっても相談しない傾向があることが改めて確認できたことになる」としている.
(四)では,心身の不健康な医師を,病院の産業医が見つけ出し,相談や受診勧奨をする方が実際的だとの観点から,病院の産業医や,産業医の資格を持つ病院管理者を対象としたワークショップ形式の参加型研修会を,三月六日,日医会館で開催したことを紹介.
本研修会では,勤務医の健康支援を進めるに当たり,勤務医の労働条件・労務環境に関連した心身の負担要因を改善することが重要だとして,講義と事例検討を通して,勤務医の労務環境改善や職業性ストレスによる健康障害防止策を検討した.
研修会については,参加者から高評価が得られたとする一方,今後の課題として,「講義を担当できる講師の確保や育成」「精神科の専門でない産業医の,うつ病診断などプライマリーケア技術,産業精神医学的対応技術向上のためのプログラム開発」「研修参加者のフォローアップ仕組みづくり」などが挙げられている.
同常任理事は,E-メールでの相談は深刻なケースが多かったことから,今後もホームページ上で受け付けていくことを説明した.また,研修会について,「今後,日医として継続するが,都道府県や大きな病院団体等でも実施していただきたい」と期待を寄せた.
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