声 明
帝京大学医学部附属病院で発生した
多剤耐性アシネトバクター感染事例に対する
警察の捜査について
日本医師会
平成22年9月10日
帝京大学医学部附属病院で発生した多剤耐性アシネトバクター感染事例に関しては,不幸な転帰を辿られた方には,心より哀悼の意を表するとともに,現在加療中の患者の方におかれては,一刻も早く回復されることをお祈りいたします.
院内感染対策に関する迅速な調査は,再発防止および医療界への警鐘のために不可欠であり,厚生労働省,東京都等による立ち入り検査,ならびに国立感染症研究所等による疫学調査など,専門家による事実関係の調査と究明が待たれるところであります.
一方,これら専門家等による調査結果が出される前の現時点において,警察による捜査が行われるとの報道があり,これが事実とすれば,大変遺憾であり,医療関係者として困惑を隠しえないものであります.
国民の生命と健康を託される医療行為に関しては,行政,医療界の連携による事実関係の調査,究明と,これにもとづく安心・安全な医療を提供するシステムの構築こそが重要であります.したがって,このような段階で犯罪の成否を前提とする警察の捜査開始が事実とすれば,極めて問題であり,われわれはここに厳重なる抗議の意を表明いたします.
以上
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