日医ニュース
日医ニュース目次 第1188号(平成23年3月5日)

社会保障審議会医療部会(2月17日)
医療提供体制のあり方について議論を行う

社会保障審議会医療部会(2月17日)/医療提供体制のあり方について議論を行う(写真) 第十六回社会保障審議会医療部会が二月十七日,厚生労働省で開催され,日医からは横倉義武・中川俊男両副会長が出席した.
 冒頭,厚労省事務局より,社会保障審議会の任期との関係で,同審議会に属する委員による互選の結果,部会長には齋藤英彦名古屋セントラル病院長が再任されたことを報告.齋藤部会長が,部会長代理に田中滋慶應義塾大学経営大学院教授を指名した.
 当日は,「医療提供体制のあり方」について協議が行われた.
 初めに,厚労省事務局が,「一,医療提供体制の改革の検討の方向性に関するこれまでの主な議論・意見」として,(一)医師等の人材確保,(二)医療提供施設の機能,(三)在宅医療・連携,(四)医療計画,(五)救急・周産期医療体制,(六)患者との関係,広告など─の項目ごとに,昨年十月以降四回の議論の要旨をまとめた資料ならびに,「二,『検討の方向性』・関連する最近の指摘事項」「三,在宅医療と連携について」「四,平成二十三年度予算案の概要」「五,社会保障改革の動向について」等の資料について説明した.

医療部会の役割を問う声が続出

社会保障審議会医療部会(2月17日)/医療提供体制のあり方について議論を行う(写真) 議事に先立ち,医療部会の役割と政府・与党の社会保障改革に関する集中検討会議等との関係を問う意見が出されたのを受けて,中川副会長は,行政刷新会議の規制・制度改革に関する分科会ライフイノベーションワーキンググループ等で,医療部会で議論されていることと同じ項目を議論し,頭越しに閣議決定されていることを問題視.政治的判断で,このような状況になっていることに対して,医療部会として意見表明してはどうかと提案した.
 横倉副会長も同様に,社会保障審議会の大森彌座長(東京大学名誉教授)からも,他の会議での議論について報告して欲しいとの発言があったことを明らかにし,厚労省としての認識を質した.
 これに対し,事務局は,医療部会での医療提供体制についての検討は六〜七月を目途にまとめてもらい,その後の診療報酬・介護報酬同時改定に向けての議論に反映させていくとしたほか,並行して政府の議論の状況を報告しつつ医療部会の意見も政府部内に報告していきたいとの考えが示された.

「医師等の養成」に関連し,日医の提案を紹介

 議論では,各項目に沿って意見交換が行われた.
 (一)医師等の人材確保では,「医師等の養成」に関連して,横倉副会長が,日医が一月に公表した,「医師養成についての日本医師会の提案―医学部教育と初期臨床研修制度の見直し」について触れ,医学部四年終了時に医学的知識を問う試験CBT等を行い,五〜六年では臨床実習を行う案を紹介したうえで,国家試験のあり方を見直し,再検討するべきとした.中川副会長は,六年間のうち最後の一年間が国家試験対応に追われている現状を指摘し,「一体的な見直しが必要だ」と述べた.
 他の委員からは,「日本の医学教育は,臨床医ではなく,研究者を育てるためのもので,新医師臨床研修制度も二年間で総合的に診ることが出来る臨床医の養成が目的だったものが実質一年に変更されるなど,どこかから趣旨替えをしてしまった.単に医師数を増やすだけでなく,総合的な見直しが必要」「医師だけでなく,看護師やOT,PTなどの国家試験を春と秋の年二回にするべき」との指摘や提案が出された.
 また,(二)医療提供施設の機能では,横倉副会長が,介護療養病床の廃止が六年間延長された場合には,「看護職員の人員配置標準の経過措置も延長することを検討して欲しい」と厚労省に要望したほか,「特に無床診療所のあり方についての検討が必要」との意見に賛意を示し,大都市の診療所,激減している山間部の診療所,眼科・耳鼻咽喉科等の専門性の高い診療所,内科系の広い診療分野を持つ診療所などのあり方について,本来どうあるべきか,病院外来に患者が集中して病院勤務医の疲弊問題の原因となっていること等も含めて議論すべきとの考えを示した.
 そのほか,(三)在宅医療・連携では,医療保険と介護保険の制度間の齟齬をなくして欲しいとの意見や,訪問看護と訪問介護の問題,高齢単身者の増加を踏まえた住宅問題,在宅での看取りの問題などについての意見が,(四)医療計画では,二次医療圏のあり方や医療計画の根本的な見直しを求める意見などが,それぞれ出された.

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