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第1188号(平成23年3月5日) |
社会保障審議会介護給付費分科会(2月7日)
区分支給限度基準額の超過利用者の実態を公表

社会保障審議会介護給付費分科会が二月七日,都内で開催された.
当日の議題は,(一)区分支給限度基準額に関する調査結果,(二)要介護認定に係る有効期間の見直し―についてであった.
(一)では,区分支給限度基準額を超過したサービス利用者,七〜九割の利用者についての利用状況の調査結果が示された.
調査結果では,「超過利用者と七〜九割利用者ともに二種類以下のサービス利用が八割以上」「訪問介護や通所介護など見守りを必要とするサービス利用が多く,医療系サービスの利用が少ない」「全国のサービス利用量の平均と比べ,訪問介護や通所介護の利用量が多い」―などの結果が示され,区分支給限度基準額については,まず,ケアマネジメントを踏まえたうえでの議論が必要ではないかとされた.
委員からは,「現在のケアマネジメントの在り方に問題があるのでは」「保険者によるケアプランのチェックを強化すべき」「居宅介護支援の報酬体系の見直しが必要」などの意見が述べられた.
三上裕司常任理事は,医療系サービスの利用が少なかった今回の結果を受けて,「不適切なプランをチェックする国保連の『介護給付適正化事業』や各事業所の主任ケアマネジャーが機能しているのか」,また,「『介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会』等の議論にも影響が出てくるのではないか」と指摘した.
(二)では,要介護認定時における市町村の事務負担を軽減する考えから,要介護認定の区分変更や更新申請時の設定可能な認定有効期間の範囲を三〜六カ月から三〜十二カ月に見直すとの案が示され,分科会として了承された.本件は,パブリックコメントを経て四月一日から省令改正される予定.
また,委員から新規申請の認定有効期間も三〜十二カ月に変更する提案があり,今後の検討課題となった.
さらに,平成二十四年度介護報酬改定に向けたメモが示され,次期同時改定では,医療・介護・予防・住まい・生活支援サービスを切れ目なく,有機的かつ一体的に提供する「地域包括ケアシステム」を実現するために,基盤整備,認知症にふさわしいサービス提供,地域間やサービス間の公平性などの視点で検討すること等が挙げられた.
三上常任理事は,「事業者やサービス提供者について,努力が伴わなければならないが,利用者にも努力を求める」とした意義について厚労省の見解を求め,厚労省事務局からは,「利用者に関しても,自立への努力を促す方向」との回答があった.
次回から介護報酬改定に向けた議論が本格的に開始される.
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