|
第1192号(平成23年5月5日) |
日本医師会災害対策本部会議拡大会議
JMATの今後の活動方針等を説明
震災後三回目となる日本医師会災害対策本部会議拡大会議が四月十二日,日医会館で開催された.当日は,テレビ会議システムを使って,岩手・宮城・福島各県の現状について報告を受けるとともに,JMAT(日本医師会災害医療チーム)の今後の活動方針等について説明を行った.
会議は横倉義武副会長の司会で開会.冒頭あいさつした原中勝征会長は,現地の意向を踏まえて,被災地の支援活動に全力で取り組んでいく意向を改めて示した.
各県からの報告では,まず,石川育成岩手県医師会長が,JMAT撤収後の準備を着々と進めていること,四月十一日に立ち上げられた県の復興委員会に医療福祉の代表者として出席したこと等を説明.また,津波の影響もあり,阪神・淡路大震災と比べて,医療機関の復興が遅れているとして,その支援を求めた.
伊東潤造宮城県医師会長は,JMAT宮城を編成し,どのような支援が出来るか検討を開始したことを報告するとともに,国,県に対して,失われた医療機関(八病院,六十診療所)の再建に向けた特段の配慮を求めた.
谷雄三福島県医師会長は,強い余震が続いているためライフラインの復旧が進んでいないだけでなく,福島第一原発周辺住民の避難所生活が長期化しているとして,その支援を要請.また,避難所では,ビタミン,ミネラルが不足しているほか,脚気や感染症の集団発生も見られることから,きめ細かなサービスを提供出来る避難所も今後は必要になってくると指摘した.
引き続き行われた日医からの説明では,石井正三常任理事がJMATの今後の活動方針として,(1)当面五月を目途に現地の要望がある地域に限定して,継続的に派遣体制を続け,その後は被災県医師会と協議すること(2)被災地から要望が強い,精神科,小児の医療チームの派遣は継続していくこと(3)被災県以外の避難所で暮らしている人々の健康管理への対応,余震,原発事故等の影響も考慮していくこと─などを説明.さらに,救急災害医療対策委員会で,JMATの派遣方法やチームのあり方等についての検討を再開する考えを示した.
医療機関の復興に関しては,まず,羽生田俊副会長がノルウェーから提供を受け,山本保博東京臨海病院長と,災害医療ロジステック協会を通じて日医に寄贈されたプレハブ診療所を岩手県医師会に提供するとしたほか,「診療所として転用可能なプレハブ住宅等についても提供の話があり,どこにどれだけ提供出来るか早急に検討したい」と述べた.
また,中川俊男副会長は,被災県に提供される地域医療再生基金や復興財源を地域医療の再生にも活用出来るよう,国に要望していることを説明した.
さらに,今村聡常任理事からは,被災したにもかかわらず,避難所で診療を行っている医師に対する日医からの支援として,行った診療行為の対価を,日医に寄せられた義援金から日当の形で支払うことを決定したとの報告がなされた.
なお,日医では,今後も,現地の状況も踏まえて本会議を適宜開催していくことにしている.
|