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第1207号(平成23年12月20日) |

「日曜日」

子どもの頃,一つの問題に出会った.
「日曜日」のように,漢字三文字からなる熟語で,第一字と第三字が,同じ字なのに読み方が違うものを挙げよ,ただし固有名詞は除く,というのである.例解として「馬車馬」が添えられていた.
「水道水」は第一字と第三字の読み方が同じだし,「市川市」は,読み方は違うが固有名詞なので,いずれも該当しない.昭和二,三十年代ごろのNHKラジオの人気番組「話の泉」に出題されたのだという.
これが難問で,なかなか思い当たらない.筆者にとっては,生涯の宿題となってしまった.辞書を片っ端から当たるなどというのは面白くないので,本や新聞,雑誌などで見掛ければ書き留めることにした.
やっと出会ったのが,十七代中村勘三郎が,当時の勘九郎と踊った「連獅子」を見た時で,「子獅子」の三文字を得た.新聞の化粧史の記事で「粉白粉」を見つけ,貴金属会社の広告で「金地金」を知った.ある秋,気象情報で「風台風」が近づくことを警告していた.他家を訪問しようとして時計を見た時に,「時分時」という概念を思い出した.
現在まで,かなりの年月ずっと探し続けていてこれだけである.
なお,「人一人」や,「杯一杯」は,副詞的なニュアンスを持つので,あえて外した.「石灰石」,「筒井筒」は同じ読みの音便化なので,やはり採らなかった.
こんなことが何の役に立つのかと聞かれれば,返答に窮する.そんな言葉ならばいくらでもあると言われたら……,やはり自分で探すから,教えないで欲しい.
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