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第1212号(平成24年3月5日) |
2月15日
平成22・23年度男女共同参画委員会答申について
【詳細は日医HPで】
保坂シゲリ常任理事は,男女共同参画委員会が二年間の審議を経て,二月三日に小笠原真澄委員長(秋田県医理事)から原中勝征会長に提出した答申について報告した.本答申は,原中会長からの諮問「日本医師会の男女共同参画への取り組みについて」を受けて取りまとめられたものである.
初めに,同常任理事は,平成二十一年に実施した「女性医師の勤務環境の現況に関する調査」から,医師のワーク・ライフ・バランス実現のために求められることは,(1)十分な医療財源(医療への適正な投資)(2)医師全体の勤務環境の改善(3)意思・方針決定機関への女性医師の参画―に集約されたと説明.
これまで,同委員会が,「女性医師の勤務支援についての日医の取り組み(平成十八・十九年度)」「女性医師に対する実効ある就業支援策について(平成二十・二十一年度)」と,女性医師を巡る勤務環境改善について検討してきたことを紹介した上で,「日医としては,現在,『女性一割運動』を掲げ,国の掲げた『二〇二〇.三〇』に向けた取り組みを展開しており,今期委員会では,意思・方針決定機関への女性医師の参画ということを中心に幅広く諮問について検討していただいた」と述べ,以下のように説明した.
答申の内容は,はじめに,(一)方針決定過程への女性医師参画の拡大,(二)男女共同参画の視点に立った医師の働き方に対する提言,(三)男女共同参画を推進するための情報の集約・提供およびメディアに対するアピールの方法,(四)大学教育や女性研究者に対する男女共同参画の取り組みの推進,(五)生涯を通じた女性の健康支援に対する提言,(六)災害と男女共同参画,おわりに―からなっている.また,巻末には,諮問に対する具体的な成果ということで,同委員会の活動報告が参考資料として掲載されている.
日医が取り組むべきことについて検討した内容の具体策として,(一)では,「理事の女性医師枠」の実現,「二〇二〇.三〇推進懇話会」の継続実施が,(二)では,医学部での男女共同参画に関する教育の導入,育児支援,柔軟で多様な勤務体制等の導入,一般社会への意識啓発,女性の多い職場への女性産業医配置の推進などが,(三)では,医師,他の医療関係者,市民など,それぞれに有効な情報を発信し,情報交換の場を設けることが,(四)では,キャリア形成に関して,男女平等の機会,評価・処遇を与えること,オールドボーイズネットワーク(男性研究者が長く組織を運営してきた中で作り上げた文化,約束事のようなもの)の認識と新しいネットワークの構築などが,それぞれ,項目ごとに提言されている.(五)と(六)は,一般社会に対する取り組みとして,女性の健康支援について,また,災害復興において,男女共同参画の視点での取り組みの重要性が指摘されている.
「おわりに」では,日医の男女共同参画の取り組みは世間一般より遅れていると言わざるを得ないが,男女共同参画の視点は,勤務医不足や医師の過重労働等の対応策を検討するに当たっても欠くことが出来ないもので,今後,日医が医療政策を検討していく上でも不可欠であり,本答申が男女共同参画推進の一助となることを願う,と結ばれている. |