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第1227号(平成24年10月20日) |
横倉会長
山中伸弥教授の2012年ノーベル医学・生理学賞受賞を受けてお祝いの言葉を発表
山中伸弥京都大学iPS細胞研究所長の二〇一二年ノーベル医学・生理学賞の受賞決定を受けて,横倉義武日医会長より祝福コメントを発表した.
二〇一二年のノーベル医学・生理学賞に京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授の受賞が決定されました.この朗報に際しまして,日本医師会としても,この度の山中教授の受賞に,お祝い申し上げますとともに先生のこれまでの研究に対する姿勢に心より敬意を表します.
これまでのノーベル賞の歴史の中で,医学・生理学賞の日本人の受賞は,一九八七年の利根川進博士以来,二十五年ぶり二人目であります.
山中教授の研究された「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」は,大胆な着想に基づくもので,医学界のみならず生物学の分野においても画期的な研究であり,開発の発表からわずか六年余という短い期間で今回の受賞に至りました.
医学,医療の世界では,病気の原因解明や治療など医療全般に応用が期待されるものであり,日本医師会としても「日本医師会会員で,医学上重要な業績をあげたもの」として,二〇一〇年に,「日本医師会医学賞」を贈呈させていただき,その際には記念講演をいただいたところであります(写真).
また,十月八日の受賞会見の場においても,「感謝」の言葉を述べられるだけでなく,臨床の現場から基礎研究の場に移られ,歩み出した十数年前から,国や大学の支援を受けられたことに加え,分野の異なる研究者や家族に支えられたことに謝意を表するなど,山中教授のお人柄が如実に表れるものであり,改めて,山中教授が病気に苦しむ患者の方々を助けたいとの一心で基礎研究に没頭されてこられたお姿に,感銘を受けました.
今後,iPS細胞を活用することによって,根本的な治療法のなかった多くの神経難病などの発症の仕組みの解明とその治療法の開発,また,生殖医療等幅広い分野での応用など,可能性は大きく広がっています.
これらの研究開発は大変期待が大きくかつ重要な分野であり,今後,当該学会などにおいて,法整備面,倫理面に関しまして研究環境が整えられることになると思われますが,日本医師会といたしましても全面的にバックアップを行って参ります.
最後に,先生の今後のご活躍を期待するとともに,心からのお祝いの言葉をお贈り申し上げます.
平成二十四年十月十日
日本医師会 会長 横倉 義武
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