日医ニュース
日医ニュース目次 第1228号(平成24年11月5日)

2012年世界医師会(WMA)バンコク総会開催される
─横倉会長が学術集会の共同座長を務める─

2012年世界医師会(WMA)バンコク総会開催される/─横倉会長が学術集会の共同座長を務める─(写真) 世界医師会(以下WMA)総会が,十月十〜十三日にタイのバンコク市で開催された.総会には,四十九医師会及び国際赤十字等より約三百名が参加,日医からは横倉義武会長,羽生田俊副会長,石井正三常任理事,畔柳達雄参与が出席した.
 開期中行われた学術集会では,横倉会長が共同座長を務めた.また,石井常任理事は,副議長として役員会議,常設委員会(医の倫理,社会医学,財務企画),理事会,総会に出席し適宜議長代理を務めた.
 ヘルシンキ宣言改訂作業では,十二月の南アフリカに次いで,来年二月二十八〜三月二日に東京でアジアの声をヒアリングする専門家会議を開催することが確認された.
 また,ドイツ医師会との意見交換会,アジア大洋州医師会連合(CMAAO)加盟医師会参加者約七十名との懇談会を実施した.
 総会における主な議事内容は,以下のとおりである.
 (一)医の倫理関係
 一,新規採択文書
 (1)臓器及び組織の提供に関するWMA声明
 (2)WMAが禁止する医師の死刑執行への関与に関する再確認決議
 二,既存文書の修正
 (1)医の倫理と先端医療技術に関するWMA宣言
 (2)医療における安全な注射に関するWMA声明
 三,継続審議
 (1)ヘルシンキ宣言の改訂
 〔作業部会で検討〕
 四,コメント要請文書
 (1)人間中心の医療に関するWMA声明案
 〔「人間中心の医療」の原則は,身体的・心理的・社会的・精神的に良好な状態での健康促進が前提.声明案ではその行動指針に言及〕
 (2)死刑執行に関するWMA声明案
 (二)社会医学関係
2012年世界医師会(WMA)バンコク総会開催される/─横倉会長が学術集会の共同座長を務める─(写真) 一,新規採択文書
 (1)電子たばことその他電子的ニコチン送達システムに関するWMA声明
 (2)医療分野における患者及びその関係者による暴力に関するWMA声明
 (3)医師による集団行為の倫理的側面に関するWMA声明
 〔各国医師会は,集団行為(ストライキ)がなされた場合,医師が,倫理的義務を認識し,順守することを確認すべきとしている〕
 (4)強制及び圧力による不妊化に関するWMA声明
 (5)ワクチン接種の優先化に関するWMA声明
 〔国家レベルでの接種スケジュールや接種履歴に対する意識を国民の間で高めるよう,各国医師会に勧告〕
 (6)アルコールの最低価格に関するWMA決議
 〔最低価格の設定が消費量の減少に通じる,公衆衛生上の強力な措置とする決議〕
 (7)たばこの簡素なパッケージに関するWMA決議
 〔ブランド志向と喫煙の関係を背景に,パッケージの簡素化を求める決議〕
 (8)シリル・カラバス教授の支援に関するWMA決議
 二,既存文書の修正
 (1)武力紛争時及びその他暴力的状況における医の倫理に関するWMA規則
 (2)精神医学の乱用に関するWMA決議
 三,コメント要請文書
 (1)医療データベースの倫理的考察に関するWMA宣言改定案
 (三)財務企画関係
2012年世界医師会(WMA)バンコク総会開催される/─横倉会長が学術集会の共同座長を務める─(写真) 一,新規締結覚書
 (1)WMAと世界獣医学協会間における覚書
 〔国際保健向上のため,「ひとつの健康(One-Health)」を目指す文書〕
 二,アンケート要請文書
 (1)災害対策と医療に関するWMA宣言(モンテビデオ宣言)
 三,開催予定地
 総会:二〇一三年十月フォルタレザ(ブラジル),二〇一四年十月ダーバン(南アフリカ)
 中間理事会:二〇一三年四月バリ(インドネシア),二〇一四年四月東京
 四,新規加盟医師会
 ミャンマー医師会,スリランカ医師会の加盟承認(一〇二加盟医師会)
 (四)学術集会
 “Megacity-Megahealth?”をテーマに,横倉会長が共同座長を務め,日本からは,中村安秀大阪大学大学院教授が途上国への母子健康手帳の普及,国民皆保険下の乳児死亡率の推移,高齢社会への取り組み等について講演.
 (五)準会員会議
 若手医師ネットワーク代表による活動報告が行われた.
 なお,総会には,十一カ国二十九名(韓国十二名含む)の若手医師,医学生が参加した.

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