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第1255号(平成25年12月20日) |
平成25年度中部医師会連合委員総会
次期診療報酬改定に向け医療を取り巻く諸問題を協議
平成二十五年度中部医師会連合委員総会が十一月十六,十七の両日,岐阜市内で開催され,日医から横倉義武会長,高杉敬久・小森貴・石川広己・鈴木邦彦各常任理事が出席した.
十七日には,小林博中部医師会連合委員長(岐阜県医師会長)らのあいさつの後,「中部医師会連合規約の改正に関する件」など,四件について審議が行われ了承された.続いて,次期委員長として大中正光福井県医師会長が選出され,その後には三つの特別委員会が開催された.
次期診療報酬改定に向け,医療経済実態調査の結果を解説
「社会保険特別委員会」では,鈴木常任理事が次期診療報酬改定をテーマに講演を行い,十一月六日に公表された,医療経済実態調査の結果を中心に解説.医療関係者の給与について,一般診療所の医師の給与が増加しているが,医院長の給与が減少している状況を示し,「身を削って職員の給与を増やしている苦しい状況がうかがえる」と指摘した.
更に,同常任理事は,医療法人病院の損益差額構成比が横ばいにとどまった理由の一つとして,給与比率の上昇を挙げ,「収益は厳しいが人員確保のために給与を増やしている.待遇改善に努力しなければ職員を確保出来ない」と現場の窮状を訴えた.
地域包括ケアシステムの構築に向けた審議の経過を説明
「介護保険特別委員会」では,高杉常任理事が中央情勢報告として各審議会での議論の経過を概説.
審議会では,地域包括ケアシステム構築に向けた検討が行われており,「予防給付の見直し」については,リハ職等を活用して機能訓練だけでなく生活訓練も行う方策案などを示しつつ,「地域での取り組みにより,元気なお年寄りを増やすことが重要」と述べた.
また,「地域包括支援センター」については,「県医師会・郡市区医師会がそれぞれの行政とタッグを組んで取り組むことが必要.医師会側から行動を起こし,行政を動かさなければいけない」と,各県医師会を激励した.
専門医の養成には地域医師会が関わりを
「医療政策特別委員会」では,小森常任理事が講演.新専門医制度と総合診療専門医について,厚労省検討会の報告書や第三者機関の立ち上げの経緯を説明.検討会の報告書の中では,「国」という文言よりも「医師会」という文言が数多く書き込まれていることを示し,「医師会が大きく関わる仕組みであることの証である」として,専門医の養成プログラムやキャリア形成支援について「地域医師会は深く関わっていって欲しい」と期待を寄せた.
また,八月に日医始め五団体で設置した日本専門医機構についても触れ,「これからの専門医制度に日医が大きく関与していく」と意気込みを見せた.
特別委員会全体報告会
その後の「特別委員会全体報告会」では,各特別委員会の委員長から,これまで開催された委員会での議論の報告が行われた.
日本医師会の医療政策について講演
翌十七日には,横倉会長が,「日本医師会の医療政策」と題して,特別講演を行った.
「地域医療の再興と健康寿命の延伸」では,地方都市部では,医療・介護分野での雇用が最大になっている状況から,「経済発展が社会保障の財政基盤を支える一方で,社会保障の発展が生産誘発効果や雇用誘発効果などを通じて日本経済を底支えしている」と述べ,この点において経済界の認識が薄いのではないかと指摘した.
「次期診療報酬改定」については,改定のスケジュールを示しつつ,八日に発足した議員連盟「国民医療を守る議員の会」の活動に期待感を表明した.
その上で,(一)社会保障・税一体改革で,消費税増収による財源を社会保障の充実に充てることは国民との約束事項である,(二)政府が医療関連産業を成長産業として位置付けている─ことなどを挙げ,「マイナス改定はあり得ない」と強調した.
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