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第1263号(平成26年4月20日) |

3月26日・4月2日
WMAヘルシンキ宣言2013年10月改訂版(日本語訳)が完成

石井正三常任理事は,二〇一三年十月の世界医師会(WMA)フォルタレザ総会において,二年にわたる改訂作業を経て採択されたWMAヘルシンキ宣言(DoH)改訂版の日本語訳(日医訳)(英文と共に日医ホームページに掲載)が完成したことを報告した.
本宣言は,WMAの中核となる文書の一つで,一九六四年のWMAヘルシンキ総会で採択された,人間を対象とする医学研究の倫理的諸原則を定めた最も重要なガイドラインである.日医は,二〇〇八年のソウル総会における改訂同様,アジアを代表して改訂作業部会の一員として参加し,今回の改訂にも深く関与してきた.
同常任理事は,二〇一三年改訂版の焦点として,(1)研究に関与した弱者集団の保護を一層高めること(2)研究に参加した結果として,損害を受けた被験者が適切な補償と治療を受けられるようにすること(3)バイオバンクなどにおける研究試料の再利用に関するインフォームド・コンセントについての言及(4)被験者に対する研究結果の通知,試験中に有益であると証明された医学的措置へのアクセスを保証する条項を事前に策定するよう,研究後の取り決めの拡大(5)研究倫理委員会の権限強化(監視情報,有害事象報告,研究資金・研究結果の概要のレポート提出等)─があったと説明した.
また,同常任理事は,本宣言の日本語版作成に当たっては,「患者さんのベッドサイド,研究室等,いつでもどこでも読めるものとして,丁寧で分かりやすくすることを心掛けた」とした上で,「本宣言は主に医師に対して表明されたものであるが,人間を対象とする医学研究に携わる医師以外の人々にも広くこの宣言を活用して欲しい」と述べた.
更に,当日の会見では,バイオバンク等,個人の特定が可能な人間由来の試料及びデータを使用する医学研究等について,現在,WMAにおいて,ビッグデータ及びバイオバンク等のための新たなガイドライン作成に向け検討が始まっていることが報告された.
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