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第1278号(平成26年12月5日) |
医療等IDに係る法制度整備等に関する三師会声明を公表
左から田尻日薬常務理事,山本日薬会長,
横倉会長,三塚日歯副会長,冨山日歯常務理事 |
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横倉義武会長は十一月十九日,三塚憲二日本歯科医師会副会長,山本信夫日本薬剤師会長らと共に日医会館で三師会合同会見を行い,三師会で「医療等IDに係る法制度整備等に関する声明」(全文は日医ホームページ参照)を取りまとめたことを報告.社会保障・税番号制度における個人番号(マイナンバー)を医療現場で利用することについて反対するとともに,マイナンバーとは異なる医療等IDの必要性を示し,関連法制度の整備等を求めた.
横倉会長は,まず,医療に係る個人情報の保護について,医療のICT化を推進する上で最も重視すべきものであるとの認識を示した上で,個人情報保護法制定時になされた附帯決議に反して,医療分野における同法の個別法は策定されておらず,平成二十七年十月のマイナンバー制度開始に備え,全体法の改正が行われようとしている現状を危惧.「こうした状況を踏まえて,今回,国民の医療,尊厳を守る立場から,医療等分野で必要とされる番号に関連した法制度,その他関係制度のあり方等について,三師会の意見統一を行い,声明として公表するに至った」と説明した.
続いて,三塚日歯副会長が,「われわれは患者の高度な秘密である医療情報が漏洩することを非常に危惧している.自分の病歴を他者に知られたくないという患者の当然の権利と国民の健康を守るために,国でしっかりと議論して個別法で対応すべき」との見解を述べた.
また,山本日薬会長は,「国民,患者が不利益を被らないことを大前提に,健康で安全な生活を守るために医療分野に番号制度を導入するのであれば賛成できるが,十分な議論もなく,マイナンバー等が導入されることに危惧を抱いており,今後も検討を進めたい」との考えを示した.
引き続き石川広己常任理事が,声明の内容を,(1)マイナンバーとは異なる医療等IDの必要性(2)医療情報そのものを保護対象とした法整備が必要(3)医療情報の二次利用・突合は厳しく制限するべきである(4)個人番号を医療の現場で利用するべきではない(5)個人番号カードへの健康保険証(被保険者証)機能の取込には反対(6)死者や遺族の尊厳について(7)遺伝子情報の集積・利用について(8)救命活動等について(9)医療分野には「個人情報を守る立場」の監視機関が必要(10)医療従事者や保険医療機関等のプライバシーについて─の項目ごとに詳細に説明.
「声明の中の意見は,国民の安心や人権を守ることを第一義に考えたものである.医療を含めた番号制度については,日本は先進国の中では遅れている状況だが,各国での事例を参考に優れた制度となるように進めるべき」として,三師会声明に対する理解を求めた.
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